2015年3月12日(木)
“労組弱体化法”は違憲
米ウィスコンシン州 中止求め提訴
【ワシントン=島田峰隆】米中西部ウィスコンシン州の米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)と他の2労組は10日、ウォーカー知事(共和党)が前日に署名して成立した「労働権法」について、憲法違反だとして施行の中止を求める訴訟を起こしました。
「労働権法」は、労組のある職場に就職しても労働者には労組加入が義務付けられないとする法律です。州議会での可決を受けて法案に署名したウォーカー氏は「ウィスコンシンで企業がビジネスを拡大する動機になる」などと述べました。
労組側は、労組が関わって機能してきた現行制度を壊し、労組の力を弱める法律だとして反対してきました。米メディアによると、地元の数百社を束ねる経営者団体も含めて同法への反対が広がっていました。
オバマ大統領は9日、「ウィスコンシンの新たな反労働者法に深く失望した」と批判する声明を出しました。
ウォーカー氏は2016年の大統領選挙で共和党の有力候補の一人とみられています。「労働権法」を強行した背景には、共和党の保守層にアピールし、民主党の支持基盤とされる労組を弱体化して選挙戦を共和党に有利にする狙いがあるとの見方も出ています。
ウォーカー氏は10年の中間選挙で知事に当選。11年には地方公務員労組の団体交渉から医療保険や年金に関する協議を外す州法を強行しました。