2015年3月11日(水)
国連「女性の地位委員会」開幕
’95「北京宣言」全面実施へ決意
報告書 男女平等“進歩遅く後退も”
【ワシントン=島田峰隆】女性の地位向上を目指して報告や勧告を行う国連「女性の地位委員会」の第59回年次会合が9日、ニューヨークの国連本部で始まりました。20日までの日程です。委員会は9日、女性に対する暴力の阻止や教育の機会の充実などを求めた1995年の北京宣言と行動綱領を全面実施する決意を再確認する政治宣言を全会一致で採択しました。
今年は、95年に北京で開かれた第4回世界女性会議で北京宣言と行動綱領が採択されてから20年目の節目の年です。男女平等に関する国連の最新報告書は、この20年に部分的な前進があるものの「全体の進歩は受け入れがたいほど遅く、いくつかの面では後退さえある」と指摘。多くの国で家族に関する法律に女性差別が根強くあるほか、賃金格差の解消では「今のペースでは男女が平等な賃金を受け取るには75年以上かかる」としています。
9日に採択された政治宣言も、北京宣言以降の前進は「遅く、不均衡であり、男女の格差と構造的な障壁が残っている」「男女平等と女性の地位向上を全面的に達成した国は一つもない」と指摘。「各国政府はいっそうの具体的行動をとると約束する」と強調しました。
委員会の開幕式典で基調報告を行ったフィリピン高等教育委員会のリクアナン委員長は、第4回世界女性会議が開かれた時期に「地位委員会」の議長を務め、同宣言と行動綱領の作成に関わりました。同氏はこの20年間に紛争やテロ、金融危機、政府の保守的な反発など「さまざまな危機があった」と振り返り、「北京宣言の精神を再活性化する必要がある」と力を込めました。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、各国が今年合意する新しい開発目標に関し「本当に変革的なものにするには女性がその中心にいなければならない」「女性は前進と変革の主体者だ」と強調。また「男性の考え方を変えることなしには現状を変えられない」として男性の役割発揮を訴えました。