2015年2月26日(木)
被害者の請求棄却
重慶爆撃訴訟 原告側控訴へ
東京地裁
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旧日本軍が日中戦争中、中国の重慶市と四川省全域に行った重慶大爆撃の被害者や遺族ら188人が日本政府に謝罪と賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であり、村田斉志裁判長(河合芳光裁判長代読)は請求を棄却しました。
河合裁判長は、「原告の請求はいずれも棄却する」とした主文を読み上げると、判決理由も述べないまま法廷から立ち去りました。
判決後の記者会見で原告の粟遠奎さん(82)=重慶市=は、「爆撃は人道に反する罪です。このような罪を認めないというのは非常に不当だ」と批判。「私たちはこの不公平な判決に抗議し、日本政府が謝罪するまでたたかい続ける」と決意を表明。危昭平さん(83)=同=は、「日本の爆撃で私の家族は殺され、家も破壊されました。今回の判決は非常に不服で怒りを感じます」と訴えました。
弁護団の長谷川直彦弁護士は、非軍事施設への爆撃という国際法違反は認定しながら、個人の請求は認めないとするなど、「こちらの出した請求は全部棄却した」と指摘。田代博之弁護団長は、「判決は集団的自衛権の拡大が狙われる今の政治の流れを反映したもので、司法もこれに便乗、同調した。社会正義、人権を擁護するという大原則に背を向けた」と厳しく批判。「すみやかに控訴したい」とのべました。
重慶爆撃 日中戦争中、旧日本軍は国民党政府が臨時首都を置いた重慶市や四川省全域で爆撃を実施し、1938年2月から44年12月まで200回以上の無差別爆撃が繰り返されました。死傷者10万人以上、家や店を失った人は100万人規模にのぼります。被害者40人が2006年3月に日本政府に謝罪と1人1000万円の賠償を求めて提訴し、追加提訴を含め原告は188人となっています。