2015年2月14日(土)
ウクライナ停戦 2度目の「合意」実効性が課題
調停後も戦闘で死傷者
ベラルーシの首都ミンスクで11日夜から始まったロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国首脳会談は12日、ウクライナ危機をめぐり16時間にわたる話し合いを行い、ウクライナと親ロ派の2度目の「停戦合意」にこぎつけました。昨年9月に、ウクライナと親ロ派の間で結ばれた「ミンスク停戦合意」が守られず、激しい戦闘が続いているだけに、その実効性が今後の課題となります。
4カ国首脳会談での合意文書にもとづき、ウクライナ、ロシア、欧州安保協力機構(OSCE)、親ロ派の代表が署名しました。15日午前0時(日本時間同日午前7時)の全面停戦を明記したほか、前線からの重火器撤収や非武装地帯の設置、東部での地方選の実施などで合意しました。
しかし、ウクライナ政府と親ロ派の間でこれまで対立してきた停戦ラインは明確にされず、ウクライナ東部の二つの州の地位についても「対話を開始する」と先送りしました。また昨年3月にロシアが編入したクリミアについては、議題となりませんでした。
4カ国首脳は、停戦合意を支援するために、ウクライナの主権と領土の一体性尊重や、東部の経済活動の回復への独仏による支援などを確認する共同宣言を発表しました。
今回、ドイツとフランスが積極的に仲介してきた背景には、ドイツの国境からわずか約600キロのウクライナ東部の紛争が、米ロの大規模な「代理戦争」に発展しかねないとの危機感がありました。米政府は今年に入り、ウクライナに殺傷兵器を供与することを検討し始めていました。
会談を終えたオランド仏大統領は記者会見で「全てを成し遂げたわけではないが、真剣な希望がある」と語りました。
ドイツのメルケル首相は記者会見後に、記者団に対し、「幻想は抱いていない。停戦の実現に向け、やるべきことは、たくさん残っている」と慎重な姿勢を見せました。
プーチン大統領は「停戦を前に、まず全当事者が自制することが求められる」と語りました。
昨年4月に始まり、約10カ月続く戦闘では、国連推計で住民を含む少なくとも約5500人が死亡。調停後もウクライナ東部で戦闘が発生し、死傷者が相次ぎました。