2015年2月11日(水)
ODAで他国軍支援
政府、新大綱を閣議決定
政府は10日の閣議で、政府開発援助(ODA)大綱に代わる新たな「開発協力大綱」を決定しました。新大綱は、外国軍や軍関係者が関与する活動への支援について、「相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」として、初めて容認しました。
憲法の平和理念に基づき、他国への軍事援助をいましめてきた政府のODAが大きく変質する恐れがあります。
大綱は1992年に策定され、見直しは2003年以来。従来の大綱は「軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」として軍への援助を排除してきました。新大綱もこの文言自体は引き継ぎ、民生目的や災害救助など「非軍事目的の開発協力」に限るとしていますが、軍事転用されない保証は全くありません。「実質的意義」という文言もあいまいで、恣意(しい)的な解釈が可能です。
安倍政権は昨年3月、「60年を迎えたODAを進化させる」(岸田文雄外相)として大綱の見直しに着手。当初から他国軍支援を検討しており、昨年6月に公表された有識者委員会の報告書も他国軍支援を明記しました。新大綱はこの内容を踏襲しています。
政府開発援助(ODA) 外務省は「政府または政府機関によって開発途上国・国際機関に供与されるもので、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上のために行う資金・技術提供による協力」と説明。日本は1954年から拠出し、2012年の拠出額は約106億ドルで世界第5位。