2015年2月10日(火)
反緊縮、スペインでも勢い
左翼政党、支持率トップ
格差是正訴え 二大政党抑える
ギリシャで急進左派連合(SYRIZA)が反緊縮を訴えて総選挙に勝利し政権を発足させるなか、スペインでも緊縮政策に反対する新興の左翼政党・ポデモスが支持率を伸ばしています。8日の全国紙パイスの世論調査では、二大政党を抑え支持率27・7%でトップに立ちました。同国では11月に総選挙が予定されており、注目されます。(片岡正明)
同党は1月31日、「変革の行進」をマドリードで呼び掛けました。「特権を受けている者に、(失業や社会保障削減で)屈辱を与えられている者が対抗しよう」と訴えた集会には主催者発表で30万人が集まりました。イグレシアス党首は「(ラホイ政権の終わりの)カウントダウンが始まった」と述べました。メディアはポデモスの非公式な選挙キャンペーンの開始と注目しています。
ポデモスは、2011年に結成された格差是正を求める「5月15日運動」を母体として昨年1月に結党されました。その4カ月後の欧州議会選挙では約8%の得票率で第4党に。現在は各世論調査で、二十数%の支持率を得て、与党の保守・国民党、中道左派の社会労働党の二大政党に割って入っています。
政策は、選択的債務不履行、富裕層への増税、戦略的企業の国有化から週35時間労働、公的資金での雇用創出、年金支給年齢の繰り下げと反緊縮で多岐にわたると報道されています。
10年に欧州の債務危機問題が表面化してから、財政危機に陥った南欧諸国は5年にわたる経済の低迷をもたらしました。ドイツなどが主導した欧州連合(EU)の緊縮政策が押し付けられ、公務員削減、給与引き下げ、社会保障削減などが実施されたのです。スペインでは失業率23%、25歳未満の青年の失業率はギリシャをも上回る54%。一方で、同国の王族、企業経営者、政治家の汚職スキャンダルが相次ぎました。
格差是正を求める声が二大政党に対する新たな選択肢として、ポデモス支持率に結びついています。
スペインは今年、アンダルシア州やカタルーニャ州での議会選挙、5月のいっせい地方選(州を除く)などがあり、11月には総選挙が予定されています。
新ギリシャ政権は債務の減免を求めてEUや各国と交渉を求めています。ポデモスがSYRIZAに続いて、欧州の反緊縮の流れを強めるのか、欧州の今年の政治の焦点の一つとなっています。