2015年2月4日(水)
米大統領「予算教書」提出
中間所得層支援へ
富裕層などの増税求める
【ワシントン=島田峰隆】オバマ米大統領は2日、2016会計年度(15年10月〜16年9月)の議会に対する予算要求となる「予算教書」を連邦議会に提出しました。中間所得層を支援する施策の予算増を打ち出し、財源として多国籍企業や一握りの富裕層への増税を求めました。
全体の歳出規模は約3兆9900億ドル(約467兆円)、歳入は約3兆5300億ドル(約413兆円)です。財政赤字は約4740億ドル(約55兆円)で、対国内総生産(GDP)比2・5%。医療保険や税制、移民制度の改革によって、今後10年にわたり財政赤字をこの水準に抑えるとしました。非効率な支出や税制の抜け穴を見直して、この間の強制的な歳出削減措置を終わらせるとしました。
オバマ氏は2日、ワシントンで演説し、予算教書の考え方は「中間層を支援する経済」だと指摘。「米国は、だれもが公平な機会を持ち、公平に負担し、同じルールのもとで活動するときに最高の結果を出せる」と述べました。
具体的には、▽コミュニティー・カレッジ(公立2年制大学)の学費無償化▽有給の病気休暇の拡充▽子育て世帯への支援▽職業訓練の強化▽インフラ整備を通じた雇用増―などの予算増を求めました。
その財源として、富裕層が株・不動産売買で得る所得に対する最高税率を現行の23・8%から28%へ引き上げるとしています。多国籍企業が米国の法人税を逃れるために利用している税制の抜け穴をふさぎ、これらの企業が米国外にため込む利益に最低でも19%を課税し、大企業が米国内に投資するよう圧力をかけます。
オバマ氏は「この予算は新しいグローバル経済において米国を成功させる青写真だ」と力をこめ、議会に協力を求めました。予算編成権を持つ議会は上下両院とも、富裕層増税などに消極的な野党共和党が多数を握っており、予算教書の内容がどれだけ実るかは不透明です。