2015年2月2日(月)
国際法に基づき「イスラム国」包囲を
安保理決議に沿ってこそ
問われる国際社会の対処
今回、日本人2人が残虐行為で犠牲となったことを受けて、過激組織「イスラム国」への国際社会の対処があらためて問われています。この点で、国連安保理が昨年8月15日全会一致で採択した、「イスラム国」の行動を強く非難する決議2170が重要です。
決議は、同組織の「テロ行為」「暴力的な過激思想」「引き続く重大かつ系統的で広範な人権侵害と国際人道法の侵害」を「最大限の言葉で非難」しました。
「イスラム国」などテロ・過激組織の解散と構成員の脱退を求めつつ、加盟国にたいし、「イスラム国」などにかかわる個人やグループの特定、司法による裁きを要請。自国内での過激な宣伝活動などを取り締まる措置を求めました。
特に「イスラム国」の軍事的強大化に貢献しているとされる外国人戦闘員が各国から渡航しないようにする措置や、さらにテロ行為を支える資金の流れを断つことなどを呼び掛けています。
同決議の採択は、米国主導の「イスラム国」への空爆が続けられるなかで行われました。
また非軍事から軍事まで含む強制措置をとることが可能となる「国連憲章第7章に基づいて行動し」との一文が入っています。
しかし、採択後の意見表明では、「軍事行動の承認とはみなされない」(ロシア)との意見も出たように、軍事的措置を承認したものではありません。
また同9月24日、安保理首脳級会合では、外国人テロ戦闘員を主題にした決議2178を採択。
具体的には、身分証や渡航書類の管理を強めテロリストの移動を予防する、外国人テロリストの募集、渡航、資金援助を防ぐ、テロ目的で外国に渡航したか渡航しようとする自国民を起訴・処罰する国内法を整備する、国連制裁対象者の搭乗情報の事前提供を航空会社に求める、などを要請しています。
首脳級会合で、潘基文(パンギムン)国連事務総長は、「あらゆる対テロ行動・政策が、国際人権法・人道法と合致するよう保障しなければならない」「全ての措置は国連憲章の目的、価値、原則に沿うものでなければならない」と強調。討論の中では、「軍事力行使だけでない包括的なテロ対処が必要」(マレーシア)などの発言もありました。
安倍首相は「テロとたたかう、日本の国際社会での責任を毅然(きぜん)として果たしていく」と述べましたが、日本の対応も、安保理決議にそった国際法、国際人道法に基づいたものであるべきです。(伊藤寿庸)