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2015年1月30日(金)

イエメン危機

米「対テロ作戦」に批判も

無人機攻撃で不安定化

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 【ワシントン=島田峰隆】中東イエメンでイスラム教シーア派武装勢力が政府庁舎を占拠し、大統領が辞任するなどの政治危機が広がるなか、同国でテロ対策として無人機攻撃や国軍の訓練などを行ってきた米国は対応に追われています。米国の無人機攻撃が逆に情勢不安定化を招いたとして、米国の政策そのものへの批判も上がり始めています。

“成功例”と

 米政府は国際テロ組織アルカイダ系の武装勢力を掃討するとして、対テロ部隊の訓練などでイエメン政府に協力し、無人機を使った空爆を進めてきました。オバマ米政権は同国をテロ対策の“成功例”と持ち上げてきました。

 しかし、米政府高官はこのほど米紙ワシントン・ポストに対し、政府庁舎を占拠した武装組織が治安機関も支配下に置いているとして、「米国はイエメンの治安部隊と協力できない状態だ」と発言。首都サヌアでの作戦を一時中止したことを明らかにしました。米軍関係者は、イエメンの対テロ部隊に行う訓練の中断も認めました。

 ハディ大統領が辞表を提出したことで今後、無人機攻撃の実施許可をイエメン当局から継続的に得られるかどうかも不透明とされます。

 一方、オバマ米大統領は25日、「米国民の安全確保のためイエメンで圧力をかけ続ける」と強調。米メディアによると、米軍は26日、サヌア東方で無人機攻撃を行い、アルカイダ戦闘員とされる3人が死亡しました。

 オバマ氏は昨年9月、「パートナー国を前線で支援しながらテロリストを抹殺する戦略は、われわれがイエメンで成功裏に進めてきたものだ」と演説しました。ホワイトハウス報道官は、イエメンでの作戦が「成功している」とし、過激派組織「イスラム国」対策でも「類似した戦略を取る」と強調していました。

貧困と汚職

 一方、米シンクタンク、ブルッキングス研究所ドーハ・センター副所長を務めるイブラヒム・シャルキエ氏は、イエメン情勢をめぐり「米政府の政策は全く成功していない」と指摘。「無人機攻撃を重視する米国の対テロ政策が実際にはイエメンを不安定化させてきた。イエメンが抱える問題の根源にあるのは貧困や汚職だ」と政策転換を求めました。


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