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2015年1月19日(月)

欧州と世界の安保 「対話と和解」必要

OSCE議長 創設40年で訴え

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 欧州安全保障協力機構(OSCE)は15日、ウィーンで今年1年間の活動を話し合う常設理事会を開きました。今年の議長国セルビアのダチッチ副首相兼外相は理事会で、ウクライナ紛争とフランスでの新聞社襲撃テロは「欧州と世界の安全保障にとって深刻な脅威」だと指摘し、「対話と和解」の必要性を訴えました。


 ダチッチ氏は、対話と信頼醸成というOSCEの規範と原則を思い起こすよう呼び掛け、「隣人との友好的な関係は、何もせずに得られるものではない。育むべきものだ。いっそうの努力、相互理解、忍耐強さが求められる絶え間ないプロセスだ」と強調しました。

 今年はOSCEの前身となる全欧安全保障協力会議(CSCE)の創設から40周年。ダチッチ氏は40年間にわたる活動を振り返り、OSCEの活動が政治・軍事、経済、人道の面で広がってきたと評価する一方で、こう警告しました。

 「第2次世界大戦の終結とナチズムの敗北から70年がたったにもかかわらず、過激な思想と(民族、宗教、性的指向などを理由にした)憎悪犯罪は無くなっていない。人権、寛容、非差別とともに、対話、信頼醸成、連帯、協力の重要性を引き続き指摘することはわれわれの責務だ」

現場支援を重視

 今年、OSCEが力を入れようとしている活動は、「現場に足を運ぶこと」です。OSCEは現在、ウクライナ紛争の監視活動や紛争当事者間の対話促進など、15カ国で中立の立場から紛争解決や紛争後の復興活動を現場で支援しています。

 ダチッチ氏は直属の特別部会を率いて、これらの現場を訪問する計画です。「長引く紛争を(解決に向けて)動かす余地はある。小さくても具体的な歩みが、当事者間の信頼を促進し、問題の本質に取り組む道を開く」としています。

 OSCEの現場活動に対する態度は、受け入れ国によってさまざまです。消極的な国もあり、とりわけ中央アジア諸国はOSCEの活動を縮小したがっているといいます。

 こうした現状についてダチッチ氏は、「未解決の紛争を平和的なプロセスに乗せるためのカギは、当事国が握っている。紛争の平和的解決に向けた(OSCEとしての)集団的な支援が必要だ」と強調。「今年は大事な年になる。いまのOSCEの経験を、より効果的で具体的な(紛争解決の)手段と活動に発展させていく」との展望を示しています。(面川誠)


 欧州安全保障協力機構(OSCE) 1975年、米国とソ連(現ロシア)をそれぞれ中心とする「東西ブロック」間の対話促進、信頼醸成、武力紛争防止のために、米ソを含む東西欧州35カ国が創設した全欧安全保障協力会議(CSCE)が前身。ソ連崩壊後の95年、欧州安全保障協力機構(OSCE)に名称を変更。現在、57カ国が加盟。軍事・政治だけでなく、経済・環境、人権・人道も含めた三つの側面から成る協調的安全保障を促進。事務局はウィーン。


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