2015年1月6日(火)
イスラエル最高裁決定
分離壁計画差し止め
パレスチナ 世界文化遺産の村
|
【カイロ=小泉大介】イスラエル最高裁は4日までに、同国政府が占領地ヨルダン川西岸で建設している「分離壁」のうち、パレスチナ自治区ベツレヘム近郊に位置し、世界文化遺産に登録されたバティール村における計画を差し止める決定を行いました。建設反対の運動を続けてきた地元住民らは喜びの声を上げています。
バティール村はオリーブやブドウの段々畑が広がるとともに、約2千年前のローマ時代につくられたとされるかんがいシステムが今も使われるなど、その歴史的文化的景観で知られています。国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会が昨年6月に世界文化遺産登録を決定しました。
「テロ対策」を口実に同地区でも「分離壁」を建設しようとするイスラエル政府に対し、地元パレスチナ住民はもちろん、環境NGO「FoE ME」などイスラエルの環境保護団体も署名などの反対運動を長年にわたり展開。世界文化遺産登録も力となり今回の決定に結びつきました。
パレスチナのマーン通信によれば、バティール村のバディル村長は「これはパレスチナ人にとっての勝利だ」と表明。「FoE ME」のブロムバーグ会長も「環境と文化遺産の保全を願うすべての人々にとっての偉大な成果だ」としました。
パレスチナは独立国家樹立に至っていないものの、2011年のユネスコ総会で加盟を承認(イスラエルや米国は反対)され世界遺産条約を批准しました。翌年にはキリスト生誕の地とされるベツレヘムの聖誕教会と巡礼路も世界遺産に登録されています。