2015年1月5日(月)
代行徴収税送金を凍結
イスラエル パレスチナへ報復
【カイロ=小泉大介】イスラエル政府は3日、パレスチナ自治政府に代わって徴収した関税や付加価値税の送金を凍結することを決めました。イスラエル紙ハーレツ(電子版)が同日報じました。先に自治政府が国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ条約への加盟申請を行ったことへの報復措置で、双方の間の緊張があらためて高まっています。
イスラエルが送金を凍結するのは昨年12月の代行徴収分5億シェケル(約150億円)。毎月送られる税金は教員や医師など自治政府職員の給与の重要な財源となっており、凍結の長期化で住民サービスに支障が出ることが懸念されます。
パレスチナ自治政府のアリカット交渉責任者は送金凍結について、「パレスチナの財産の白昼における強奪であり、政府ではなく海賊が行うにふさわしい行為だ」「これは戦争犯罪であり、われわれがICCに加盟申請したことの正しさを証明するものだ」と激しく非難しました。
メディアによれば、イスラエル政府は送金凍結のほかに、同政府が「テロ組織」と規定するイスラム武装抵抗組織ハマスと協力しているなどとして、アッバス議長らパレスチナ自治政府の指導部を告訴することを検討しているもようです。
これらイスラエル政府の対パレスチナ強硬姿勢をめぐっては、同国内でも反発する声が上がっています。
ネタニヤフ首相率いる右派政権打倒のため、3月に実施されるイスラエル総選挙に中道左派の統一リストで臨むことで合意している労働党のヘルツォグ党首と「ハトヌア(運動)」のリブニ党首は3日の声明で、「ネタニヤフ首相は国際社会におけるイスラエルの地位低下の打開策を何ら持ち合わせていない」と指摘しました。