2015年1月3日(土)
国際刑事裁条約への加盟書
パレスチナが署名
地位向上目指す
【カイロ=小泉大介】パレスチナ自治政府のアッバス議長は12月31日、国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ条約をはじめとする20の国際機関・条約への加盟書に署名しました。国連安全保障理事会で前日、イスラエルの占領地からの期限付き撤退を求めた決議案が米豪の反対などで否決されたことを受けた動きです。
パレスチナ自治政府の国際機関・条約加盟は、イスラエルによる占領地でのユダヤ人入植地建設推進などにより同国との和平交渉が「決裂状態」に陥るなか、パレスチナの国際的地位の向上を目指すものです。ICC加盟が実現すれば、イスラエルの戦争犯罪を追及し責任者を処罰させることも可能となります。
安保理決議案否決に向けた説得工作を理事国政府に対し行ったイスラエルのネタニヤフ首相は31日、パレスチナのICC加盟着手について、「イスラエル軍は世界でもっとも道徳的な軍隊だ」などと述べ非難。米国務省も「(和平にとって)逆効果だ」と声明しイスラエル寄りの姿勢を改めて鮮明にしました。
イスラエルと米の強い反対にもかかわらずパレスチナ自治政府が国連安保理決議案を提出し、さらに国際機関・条約加盟に動いている背景には、いつ終わるとも知れないイスラエル占領に対するパレスチナ人の悲痛な叫びがあります。
パレスチナ自治区ガザ在住のオム・モアズさん(47)は、イスラエル軍が昨年7月から8月にかけて強行したガザ猛攻撃で夫を失いました。
モアズさんは本紙に対し、「イスラエル軍が私たちにどんな残虐行為を働いても罪に問われないのでは、私たちはいつまでも奴隷のような存在のままです。イスラエル政府は『和平は交渉によってのみ達成される』といいますが、和平に背を向けているのはいったい誰ですか。私たちには国際社会の助けを借りるしか方法がないのです」と訴えました。
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラに住む男性会社員のモハメド・ザカリヤさん(37)も、「国際法違反の入植地建設で和平を台無しにしているのはイスラエル側です。イスラエルとこれを擁護するアメリカを孤立させるため、私たちはこれからも国際世論に訴える平和的な活動をつづけます」と語りました。