2014年11月18日(火)
GDP2期連続マイナス
格差拡大 ■ 円安で中小企業圧迫
「悪循環」の日本経済に
「11・17ショック」が市場を襲いました。17日発表された7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)は、事前の予測を大きく下回り、2期連続のマイナスに陥りました。消費税再増税判断をめぐり注目されたGDP速報値の発表に市場は、急激な為替の変動と株価の急落で応えました。安倍晋三政権が掲げた「経済の好循環」どころか日本経済は、物価上昇、実質賃金の低下、消費の低迷、企業活動の停滞という「悪循環」に陥っています。(金子豊弘)
日銀の金融緩和をはじめとした株価対策、法人税減税の一方で、消費税を増税し社会保障を切り捨てるアベノミクスは、一握りの多国籍企業の利益を拡大する一方で貧困と格差を拡大しました。
大企業(資本金10億円以上)の内部留保は2013年度285兆円。1年間で13兆円増えました。総額100万ドル(約1億円)の富を有する富裕層の数は、世界的な金融機関、クレディ・スイスの調査によると14年には273万人となりました。前年より9万1000人の増加。株価上昇によって資産価格が上昇したためです。
働く貧困層30万人増加
一方、13年に民間企業で働いた労働者のうち年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は、1100万人を超えて1119万9000人でした。安倍内閣発足1年で30万人増えました。(国税庁の民間給与実態統計調査)
「黒田ショック」と呼ばれる10月31日の日銀による追加緩和は円安を加速しました。急激な円安は、中小企業の経営を圧迫。民間信用調査会社の帝国データバンクによると、円安の影響で倒産した企業は10月に39件、14年1〜10月の累計は前年同期の2・8倍の259件に達しています。「運輸・通信業」が最も多く、「卸売業」、「製造業」の順。
衣料品用糸・繊維・ニットの染色加工を手がけていた香川県の染色加工のアサヒ染工場は、繊維メーカーの生産拠点が海外にシフト。さらに円安と原油価格の高騰により染料価格の上昇が追い打ちをかけ10月に倒産しました。
国家が破綻 指摘の声も
経済誌には、「金融緩和と財政膨張を続ける経済は、バブル頼みである。それでは日本という国家が破綻する道へと向いかねない」(『週刊東洋経済』11月15日号)との指摘すら出ています。
日本経済と社会の土台を壊す「アベノミクス」の一刻も早い退場が必要です。
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