2014年10月28日(火)
だから秘密法反対 デモ行進の学生たち(上)
SASPLスピーチ 東京・渋谷
「僕たちは秘密保護法に反対です」。25日、東京・渋谷の街をデモ行進した「特定秘密保護法に反対する学生有志の会(SASPL=サスプル)」の学生たち。そのスピーチを順次紹介します。
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自分の言葉でつむぐ
大学3年生・女子
わたしが特定秘密保護法を知ったのはちょうど去年の今頃でした。知る権利や表現の自由、そんな大事なものが自分のものじゃなくなるかもしれない―。いてもたってもいられず、わたしは一人で永田町に行き、デモにたちました。
そのときまでわたしは、まさか自分がデモに参加する日が来るなんて思ってもみませんでした。
「デモなんてしたって何にも変わらないじゃないか」「もう12月の施行は決まってんだから、今そんなことしたって何になるんだ」。そういう人がたくさんいます。
そうです、デモなんてしなくたって明日は同じようにやってきます。そして社会運動から距離を置けば、この国で生きることはたやすくなります。
しかしそんな風潮が結果として何を引き起こしたか。ろくな審議もされない、穴だらけの法律を成立させることになったんです。みなさんこのままでいいんですか?
一朝一夕で社会が変わるなんて思っていません。でもわたしはこうして路上に出て、自分の言葉をつむぐことで、生まれ育った国が民主主義国であるということを体験しています。
わたしは活動家でもなんでもない、本とクラブが好きなただの大学生です。だけどただの大学生にだって言いたいこと、言えることがあります。
今日のランチはパスタが食べたいっていうのも、政治に対して自分の意見をいうことも、自分の意思を表明していることには変わりないはず。そうしてわたしたちが自分を表現するための自由や、それができる社会、それは当たり前に保障されてなきゃいけないんです。
わたしは思うままにものが言えるこの場所を愛しています。誇りに思っています。どんな法も、どんな社会的立場にいる人も、わたしを思考することから引き離すことはできません。そして私はなにも恐れずに、自分の意思を伝え続ける自分を恥じません。
だからわたしは何度でも言います。わたしは特定秘密保護法に反対します。
こんなに仲間がいる
大学4年生・男子
特定秘密保護法は、いったい誰のための法律なんでしょうか。もしも、国家のための国民として歩むための第一歩としての法律だったら、それだけは勘弁してくれって今日僕はさけびに来ました。
もしかしたら、僕がこうやって反対だとさけぶことが近い未来に売国奴とか、非国民とかいわれる時代が来るかもしれない。だとしたら俺は、喜んで売国奴になってやるし、喜んで非国民になってやろうという覚悟でここに立ってます。
僕は、「普通の国」になるための軍事力なんてほしくない。いまある外交の不安の原因を考えれば、軍事力以外での平和を保てるのではないでしょうか。
いま僕は今日ここに立っていて、とってもしあわせです。僕の目の前にこんなに仲間がいるからです。ここにいるみんながやがて社会に旅立って、今日僕らがここでやっているようなことをやりはじめたら、日本が良くなるビジョンしか僕には見えないんですよね。
僕は長崎出身です。今年の夏に、仲良しの被爆者から、長崎弁でこういわれたんです。「こん国は君に託してもよかね」。僕は「まあ、べつによかよ」みたいな感じでいいました。でも、いま僕は、思いきりさけびたい。「いまなら俺に任せてほしい。僕にはこんだけの仲間がいるよ」
想像してみてください。30年後、僕たちの子どもたちが、100年間戦争をしなかったという祝いの鐘をこの地で響かせているというビジョンを! 国民のための国家として確かに一歩を歩みだした今日この瞬間が、30年後の未来を導くことを信じます。
秘密法に反対するわけは
SASPLが秘密保護法に反対する理由は三つです。
第一に秘密保護法の文面には「その他」が多いことや、内閣から独立した第三者機関がないことから、秘密の範囲が無限に拡大する危険性があることです。
第二に特定秘密を得た人だけでなく、得ようとした人も取り調べを受け、つかまる可能性があり、自由な言論が失われる危険性があることです。
第三にプライバシーの侵害に当たる可能性です。秘密を取り扱う機関で行われる適性評価制度は、断ることができますが、断ったときにどうなるかはわかりません。就職活動にも影響を与えます。
日本版NSC(国家安全保障会議)や集団的自衛権行使容認も、この法と関わっていると考えています。このままではいけない。そこで僕たちはデモをすることを決めました。日本には政治的な立場を主張することにマイナスなイメージがあるけど、それは変です。おかしいことはおかしいと言いましょう。