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2014年9月30日(火)

歴史的岐路に立つ情勢―― 変革者の党の真価発揮した奮闘を

日本共産党国会議員団総会 志位委員長のあいさつ

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 日本共産党の志位和夫委員長が29日の臨時国会開会にあたって開かれた国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=29日、衆院第1議員会館

 みなさん、おはようございます(「おはようございます」の声)。国会開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。

御嶽山噴火、土砂災害などへの対応について

 はじめに、御嶽山(おんたけさん)噴火によって犠牲となった方々への深い哀悼とともに、被害者の方々に心からのお見舞いを申し上げます。引き続き、捜索・救出に全力をあげることを、政府に強く求めるものです。

 また、この夏、広島の土砂災害をはじめ、台風や大雨によって、たくさんの方々が犠牲となり、被害にあわれました。あらためて、心からのお見舞いを申し上げます。日本共産党は、現地の党組織と国会議員団が力を合わせて被災者支援に取り組んできましたが、被災者の生活再建、災害に強い街づくりのために、引き続き力をつくす決意であります。

戦争か平和か――戦後最大の歴史的岐路を迎えるもとで

 この臨時国会は、日本が、戦争か平和かをめぐって、戦後最大の歴史的岐路を迎えるもとで開かれました。

 国会閉会中の7月1日、安倍政権は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行しました。憲法9条に真っ向から背いて、「海外で戦争する国」づくりを進める歴史的暴挙に強く抗議するとともに、「閣議決定」の撤回を求めて国民とともにたたかいぬく決意を、国会冒頭に固め合いたいと思います。(「よし」の声、拍手)

安倍政権の暴走の一歩一歩が矛盾を広げ、墓穴を掘る

 安倍政権のあらゆる分野での反動的暴走は、歴代政権と比べても、戦後政治のなかで最も危険な姿をむき出しにしています。

 どうやって安倍政権の暴走を食い止め、日本の政治の平和的・民主的転換をかちとるか。大局にたって日本の情勢をとらえた場合に、私はつぎの三つの点が大切だと思います。

 第一は、安倍政権の暴走の一歩一歩が、国民との矛盾を劇的に広げ、自らの墓穴を掘るものとなっていることです。

 集団的自衛権行使容認の「閣議決定」以降も、国民の批判はさらに広がっています。どんな世論調査でも5割から6割が反対の声をあげています。8月の広島、長崎の平和式典にさいしては、被爆者代表から「閣議決定」に対する強い批判が突きつけられました。ところが、首相は、この訴えを「見解の相違」と切り捨てました。異論を「見解の相違」と切り捨てるなら、およそ民主政治は成り立たなくなるではありませんか。

 国民多数の批判を押し切って強行された消費税増税の打撃が、日本経済にはっきりあらわれてきました。働く人の実質賃金が低下し、家計消費が冷え込み、GDP(国内総生産)が落ち込むという増税不況が始まり、日本経済は「好循環」どころか、悪循環の危険水域に入っています。この事態に正面から向き合い、消費税10%への増税はきっぱり中止すべきであります。

 原発再稼働路線に痛打を与える司法の判決が相次いでいます。関西電力に、大飯原発運転差し止めを命じた、5月21日の福井地裁判決。東京電力に、原発事故後の避難中に自死に追い込まれた女性への賠償を命じた、8月26日の福島地裁判決。この二つの画期的判決は、根本的に言えば、「人類と原発は共存できない」ことを示すものとなったのではないでしょうか。

 沖縄の情勢は劇的な進展をみせています。強権をもって新基地建設を押し付ける暴政が、県民の怒りの火に油を注いでいます。9月7日に行われた沖縄いっせい地方選挙では、最大の焦点となった名護市議会議員選挙で、新基地建設反対の稲嶺市長を支える与党の当選者が過半数を占め、「新基地建設ノー」の民意が示されました(拍手)。日本共産党は、5市10町村で21人が当選し、前回比3人増、得票を1・3倍に伸ばす躍進を勝ち取りました(拍手)。いよいよ知事選挙であります。翁長雄志(おなが・たけし)さんを何としても知事に押し上げるために、頑張りぬこうではありませんか。(拍手)

安倍政権の「亡国の政治」に対して、大攻勢をかけよう

 どの分野でも、安倍政権は大きな矛盾と行き詰まりに直面しています。大局的にみれば、追いつめられているのは安倍政権の側ではないでしょうか。

 あらゆる分野で一致点にもとづく共闘――「一点共闘」を広げに広げ、それを安倍政権打倒の国民的大運動へと大合流させましょう。

 安倍政権の「亡国の政治」に対して、大攻勢をかけるべき歴史的情勢に、いま私たちは立っているということをしっかり自覚して、この国会を意気高くたたかいぬこうではありませんか。(拍手)

根底に自民党政治そのものの崩壊的危機が――経済も外交もかじ取りの資格なし

 第二に、私が強調したいのは、こうした安倍政権の矛盾と行き詰まりの根底に、自民党政治そのものの深刻な危機が横たわっているということです。すなわち、「二つの異常」――「アメリカいいなり政治の異常」「極端な大企業中心政治の異常」を特質とした自民党政治そのものが、行き詰まりを深刻にし、崩壊的危機に陥っています。このことをお互いに綱領的視野でつかみ、たたかうことを訴えたいのであります。

 「異常な財界中心の政治」を続けてきた結果、日本は、長期にわたって働く人の所得が減り続け、経済全体が停滞・縮小するという、世界でも特異な国に落ち込んでいます。この間の経済指標をみてみましても、大企業が空前の利益をあげても、賃金には回らず、巨額の内部留保が積み上がり、経済全体は停滞・縮小していく。日本経済の病理はきわめて深刻であります。

 その時に、政府は何をしているかといえば、破綻した「トリクルダウン理論」(おこぼれ経済学)にしがみつき、「成長戦略」「企業の稼ぐ力」という掛け声で、大企業の目先の利益を増やすことを、ひたすら応援するだけです。国民の暮らしはおよそ眼中にありません。彼らなりに日本経済をどうするかの見通しすら持っていません。自民党政治は、もはや日本経済のかじ取りをする資格も能力もなくなったと言わなければなりません。

 「異常な対米従属の政治」によって、米軍基地問題の矛盾が限界点を超え、それはとりわけ沖縄に集中的にあらわれています。沖縄県民が選挙で反対の意思を繰り返し突きつけている新基地建設を、力ずくで強行するなどというのは、民主主義国家ならば決して許されない暴政ではないでしょうか。

 さらに、アメリカいいなりの政治を続けてきた結果、日本にはまともな外交と呼べるものがなくなってしまっています。いま安倍政権が「地球儀俯瞰(ふかん)外交」と称してやっていることといえば、原発の輸出、武器の輸出、大企業の売り込み、集団的自衛権への支持の取り付け――もっぱらそういうことばかりです。そこには世界とアジアの平和と安定をどう築くかという平和外交の戦略はまったくありません。自民党政治は、日本外交のかじ取りという点でも、もはや資格も能力もなくなっていると言わなければなりません。

古い政治の継続か、新しい日本への転換か――歴史的岐路に立つ日本

 こうして、大きな目でみますと、日本社会は、60年余続いた自民党型政治の総決算が求められる時期を迎えています。

 「二つの異常」を特徴とする古い自民党型政治の継続か、「国民が主人公」の新しい日本への政治の抜本的転換か。より根本的には、日本の政治はこの点でも歴史的岐路に立っています。

 この歴史的情勢の特徴を大きくとらえて、日本共産党国会議員団ここにありの大奮闘をしようではありませんか。(拍手)

日本共産党は「亡国の政治」への批判、変革の願いを託せる唯一の党に

 第三は、こうした歴史の岐路にさいして、日本共産党が、安倍政権の「亡国の政治」への批判と怒り、行き詰まった自民党政治を根本から転換する変革の願いを託しうる、唯一の政党となっているということです。

 この臨時国会にさいしても、日本共産党は、安倍政権の暴走と正面から対決するとともに、日本の未来に責任を負う対案をさし示し、国民と共同してたたかう――この立場を堅持して大いに奮闘したいと思います。

アジア政党国際会議――日本共産党こそ世界とアジアの本流に立つ党

 この点にかかわって、最近の二つの取り組みについて、最後にのべておきたいと思います。

 一つは、9月18日から20日、スリランカのコロンボで開かれたアジア政党国際会議(ICAPP)での日本共産党の活動であります。

 この国際会議で全会一致で採択された「コロンボ宣言」は、ASEAN(東南アジア諸国連合)のような地域の平和協力の枠組みを北東アジアなど全アジア規模に広げることを提起するとともに、核兵器禁止条約のすみやかな交渉開始を世界に向かって呼びかける、画期的な内容となりました。

 この二つの内容は、日本共産党の提案が実ったものだということを報告しておきたいと思います。日本共産党こそ、世界とアジアの本流に立つ党だ――これがこの国際会議に参加しての実感であります。

日本軍「慰安婦」問題の論文――歴史をゆがめる逆流の根を断つまで力つくす

 いま一つは、9月27日付の「しんぶん赤旗」に掲載された論文「歴史を偽造するものは誰か――『河野談話』否定論と日本軍『慰安婦』問題の核心」であります。

 この論文は、いわゆる「吉田証言」が虚偽だったことを利用した「河野談話」攻撃の大キャンペーンが氾濫するもとで、それに対する根本的反撃を行ったものであります。

 「河野談話」は「吉田証言」を根拠にしていないこと、「吉田証言」が虚偽だったから「河野談話」の根拠もなくなったという議論は成り立つ余地がないこと、「河野談話」否定論が日本軍「慰安婦」問題の本質を覆い隠す問題の「二重の矮小(わいしょう)化」を特徴としていること、そしてこんな議論は国際社会では到底通用しないことなどを、事実と道理にもとづいて明らかにしています。

 この論文発表に対して、各界から、「よくぞ『赤旗』は反撃してくれた」という声が、いま続々と寄せられております。

 日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた政党として、歴史をゆがめる逆流の根を断つまで、引き続き知恵と力をつくして頑張りぬく決意をここに表明するものであります。(拍手)

変革者の党の真価を発揮した大奮闘を

 戦争への道を許さず、平和日本への道を進むことができるかどうか。

 行き詰まった古い自民型政治の継続を許さず、「国民が主人公」の日本への抜本的転換をかちとることができるかどうか。

 歴史的岐路に立つ日本において、変革者の党の真価を発揮した大奮闘をしようではありませんか。このことをお互いに誓いあって、開会にあたってのあいさつとします。ともに頑張りましょう。(拍手)


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