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2014年9月14日(日)

放課後子ども総合プラン

問われる施設のあり方

学童保育への企業参入も

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 5年間で30万人分の学童保育の受け皿を増やすことなどを掲げた「放課後子ども総合プラン」を安倍政権が打ち出しました。児童の成長を保障することなど切実な願いにこたえるものでしょうか。

待機児解消策で

 国が行っている現在の放課後児童対策には、(1)共働きやひとり親の子どもの生活の場として、専任指導員が保育する「放課後児童クラブ」(学童保育=厚労省)と、(2)全児童を対象として、空き教室を利用し地域住民が講座を開いたり遊んだりする「放課後子供教室」(文科省)があります。それぞれ果たしている役割や内容も異なっています。

 同プランでは、▽新設する学童保育の約80%は小学校で実施▽すべての小学校区で学童保育と子供教室を「一体的に又は連携して実施」し、「一体型」(学童保育の子どもが参加できる教室の活動プログラム)を1万カ所以上で実施する―などを盛り込みました。空き教室の活用促進などは学童保育関係者から求められてきたものです。

 プランでは、待機児童解消策として民間企業参入も地域の実情に応じて必要と明記しました。学童保育全体の1・8%しか運営設置者となっていない民間企業ですが、塾などの「高付加価値型のサービス」や本体部分への参入も狙われています。安倍政権の成長戦略にも位置づけられ、学童保育への企業参入が加速することによって児童の成長のための施設のあり方がゆがめられないか、問われることになります。

「一体型」の問題

 「一体型」は、2007年の「プラン」から掲げられているものですが、さまざまな問題点も指摘されています。横浜市などでは、午後5時まではすべての子どもを対象とした子供教室で5時以降が学童保育という「一体化」を推進してきました。

 これに対し、「場所も職員も子どもたちも一体化するのであれば、学童保育の役割は果たせない」との学童保育関係者の懸念の声をうけ、プランでは学童保育について「生活の場としての機能を十分に担保することが重要で基準に基づいて実施」していくと明記されました。

 学童保育は、子育て新制度に位置付けられ、有資格者の専任指導員を配置しなければならないことなど、最低基準が初めて示されました。今後の質拡充の足がかりとなります。

 ただし運動によって一定の質を確保してきたところでは、国基準のままでは後退することから、各市町村での条例化で国基準に上乗せすることが求められています。

 国の基準では、保育の場所について「専用区画」としていますが、ただし「保育に支障がない場合はこの限りではない」(ただし書き)として「教室」との一体化が可能になっています。さいたま市では条例化の際、ただし書きを削除し、「教室」との一体化による後退に歯止めをかけています。

 現在、学童保育の入所児童数は93万人(2万2096カ所)を超え、潜在的な待機児童数は40万人とも推計されています。

 全国学童保育連絡協議会の真田祐事務局次長は、5年間で30万人分の定員増について「市町村による学童保育のニーズ調査の集計とも合致し、現実的な数字です」と指摘します。「着実に実施することが求められていますが、その際、学童保育と子供教室は、それぞれの目的・役割にそって拡充することが求められます」と語っています。(鎌塚由美)


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