2014年8月28日(木)
秘密法対象に「米軍の運用」 「軍事的連携のため」施行準備室
米の戦争への参加過程 隠す
安倍政権が秘密保護法の年内施行に向けて今秋にも閣議決定しようとしている運用基準(素案)の中に、秘密指定の対象項目として「米軍の運用」や「米軍の防衛力の整備」が挿入されている問題で、政府がその理由として「日米の軍事的連携」を挙げていることが27日までにわかりました。
内閣官房の秘密保護法施行準備室が本紙の問い合わせに「自衛隊が米軍と共同・連携することを表したもの」と明言しました。秘密保護法が、「戦争する国」づくりのために日米の軍事戦略や情報を共有し秘密事項にするものであることが浮き彫りになりました。
「米軍の運用」「米軍の防衛力の整備」という項目は、秘密保護法の「別表1」(秘密指定リスト)には明示されていません。政府が24日までにパブリックコメント(意見公募)にかけた運用基準(素案)の秘密指定の対象項目にある「自衛隊の運用」「防衛力の整備」の中に初めて示されたものです。
法律から読み取れない事項が、運用基準で広げられることは重大です。この点について準備室は「下位法令である運用基準で法律を拡大しているものではない」と回答し、問題がないという立場を示しました。
もともと秘密保護法では、行政機関の長が自由に秘密を指定し、国民から見て「何が秘密かも秘密」です。「国民の安全」を最も脅かす“戦争計画”がつくられても、それを知ることが困難になります。
安倍政権が強行した集団的自衛権行使容認の「閣議決定」では、従来の日本有事に加え、他国に対する武力攻撃に対し自衛隊が戦争参加することを決めています。さらに、平時における「武力攻撃に至らない事態(グレーゾーン)」でも、自衛隊が米軍を防護することが決められました。平素から日米が共同訓練、監視活動を強化することがおりこまれています。
政府が自衛隊とともに、「米軍の運用」「米軍の防衛力の整備」を秘密事項にすることは、これから進められようとしている立法の基礎となる情報を中心に、米国のおこなう戦争への参加プロセスを隠す意図をしめすものです。