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2014年8月16日(土)

主張

「靖国」玉串料

首相のごまかしは通用しない

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 アジア・太平洋戦争の敗戦から69年の15日、安倍晋三首相は侵略戦争を肯定・美化する靖国神社への参拝は見送ったものの、昨年と同じく自民党の萩生田光一総裁特別補佐を通じて玉串料を納めました。昨年末の首相の靖国参拝が中国や韓国からだけでなくアメリカからも批判される中、首相が参拝は見送っても侵略戦争を反省したわけでないことは、同日行われた政府主催の「戦没者追悼式」の式辞で昨年に引き続き、歴代首相が繰り返してきたアジア諸国への加害責任にはまったくふれず、「不戦の誓い」を口にしなかったことからも明らかです。

戦争美化に身を置く

 靖国神社は、侵略戦争を引き起こし戦後の東京裁判で裁かれたA級戦犯ら戦争指導者まで「祭神」としてまつり、日本の侵略戦争を「自存自衛の正義のたたかい」「アジア解放の戦争」などと正当化し美化する特殊な施設です。アジア・太平洋戦争で2000万人を超すアジア諸国民と310万人以上の日本国民を犠牲にした侵略戦争の責任を認め、国際社会に復帰した日本政府の首相や閣僚が靖国神社への参拝を繰り返し、玉串料を納めたり飾り物である真榊(まさかき)を奉納したりするのは許されません。そうした行為が侵略戦争を肯定・美化する立場に自ら身を置くことになるのは明らかです。

 第1次政権時代に靖国神社へ参拝できなかったことを「痛恨の極み」と公言してきた安倍首相は、一昨年末の第2次政権の発足後、春・秋の例大祭や終戦記念日などに玉串料や真榊の奉納を繰り返し、昨年末には政権発足から1周年を機に、靖国神社への参拝を強行しました。どれほど国際常識に反したことだったのかは、日本が侵略した中国や韓国の批判だけでなく、「同盟国」アメリカからも、安倍首相の参拝強行に「失望した」と異例な批判が発せられ、日本の国際的孤立があらわになったことからも明らかです。

 今回、安倍首相は参拝を見送ったものの、安倍内閣の閣僚や自民党などの有志議員は参拝を強行しました。安倍首相の参拝見送りが国際的批判に配慮したためというなら、自らの内閣の閣僚などの参拝も中止させるべきです。それもしないで反省は通用しません。

 安倍首相の代理として靖国神社に参拝し、首相の玉串料を納めた萩生田氏は、首相から「英霊に哀悼をささげてほしい、恒久平和を誓ってほしいといわれた」と語っています。しかし、首相のいう「英霊」に戦争指導者まで含まれていることは、日本に侵略され犠牲となった国にとってはもちろん、無謀な戦争に駆り出された国民にとっても納得できません。「恒久平和」を誓うというなら、侵略戦争を正当化する靖国神社はもっともそれにふさわしくない場所です。

「戦争する国」繰り返すな

 安倍首相が戦没者追悼式の式辞でアジア諸国民への反省や不戦の誓いを欠落させたのは重大です。最近の自民党の首相も麻生太郎首相まではアジア諸国民に多大の損害と苦痛を与えたことを「反省」し、「不戦」を誓ってきました。

 戦後日本は戦争を起こさず、日本の戦争で一人の犠牲者も出していません。首相の姿勢は、再び「戦争する国」になろうという安倍政権の危険性への国内外の懸念を深めさせるものでしかありません。


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