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2014年8月14日(木)

秘密保護法運用基準の「素案」

「米軍の運用」挿入

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 政府が今月24日の締め切りでパブリックコメント(意見公募)にかけている秘密保護法の運用基準の「素案」に、秘密指定リストの対象事項として、同法そのものからは読み取れない「米軍の運用」や「米軍の防衛力の整備」が盛り込まれています。

 秘密保護法は「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロの防止」の4分野計23項目を定め、「別表」でリストにしています。

 「防衛に関する事項」では、「自衛隊の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究」「防衛力の整備に関する見積もり若しくは計画又は研究」を掲げています。

 ところが運用基準の「素案」では、「自衛隊及びアメリカ合衆国の軍隊(以下『米軍』という。)の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究」「米軍の防衛力の整備に関する見積もり若しくは計画又は研究」と明記。米軍の運用や「防衛力」に関わる事項が秘密指定の対象になっています。

 「米軍の運用」や「米軍の防衛力の整備」は、法律にある「自衛隊の運用」「防衛力の整備」から当然に読み取れる事項ではありません。運用基準で法律が拡張されていることになります。

解説

集団的自衛権行使にらみ米軍情報保護

 秘密保護法は国民の知る権利を侵害して、重い刑罰を科す法律です。秘密指定の対象事項は、それを公務員が漏らし、国民が知ろうとすれば処罰される犯罪の構成要素です。国民が知らないうちに「運用基準」で法律が勝手に拡張され、法定されていない事項が取り込まれることなど許されません。

 政府が2011年2月18日の秘密保全法制のあり方に関する有識者会議に提出した「『防衛秘密』制度の運用状況」では、「自衛隊の運用、見積もり、計画、研究」として▽自衛隊の運用命令、行動基準、行動状況▽運用に関する内外情勢の見積もり▽武力攻撃等への対処計画、能力▽自衛隊の効率的且つ効果的運用を目的とした研究―などをあげています。運用基準の「素案」にある「米軍の運用」は入っていません。

 「米軍の防衛力の整備」は「日本の防衛力の整備」とはまったく異質です。米軍の軍事力の整備の状況や計画が、丸ごと日本の秘密保護法の対象となるのは異様です。

 米軍の運用状況や防衛力の整備は、集団的自衛権の行使容認の「閣議決定」が強行されたもとで、日米が軍事的一体化をいっそう進め、日米が共同して戦争を準備・遂行するうえで極めて重要となっていく情報です。

 こうした情報が広く秘密指定の対象とされ、国民や国会に対しすべて秘密とされたまま、戦争体制の構築、戦争準備、遂行が進められるという重大な問題です。 (中祖寅一)

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