2014年8月8日(金)
主張
カジノと安倍政権
「賭博場いらぬ」の声広げよう
刑法が禁じる賭博場・カジノを「日本の成長戦略の目玉」と位置づける安倍晋三首相のもと、カジノの合法化に向けた政権の暴走が加速しています。
閣議決定した「改訂成長戦略」に、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)について「関係省庁において検討をすすめる」と明記したのに続き、内閣官房にカジノ合法化への課題を検討する省庁横断の「特命チーム」を発足させるなど、政府をあげてカジノ推進に異常な前のめりです。
シンガポール詣で
自民、維新(当時)、生活の3党が提出したカジノ合法化法案は、衆院で継続審議となっています。
自民、民主、維新、公明、みんな、結い、生活の各党から200人以上の国会議員が名前を連ねる超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連、会長・細田博之自民党幹事長代行)は、秋の臨時国会での成立に執念を燃やしています。安倍内閣の暴走も、数の力を背景にした、おごりにもとづいています。
カジノ推進派は、日本のカジノは「シンガポールがお手本」(カジノ議連事務局長・萩生田光一自民党衆院議員、6月18日の衆院内閣委員会)としています。
安倍首相が5月30日にシンガポールの二つのカジノ施設を視察したのに続き、衆院内閣委所属の自公民3党の6人の議員が、衆院による海外派遣で同国のカジノを視察しました。公明党の山口那津男代表も7月16〜19日、シンガポールのカジノを見て回りました。
山口代表は帰国後の記者会見で「国際会議場やホテル、そのほかの複合的な施設の一角にカジノがある」「カジノのシェア(割合)は3%程度」などとのべました。せっかくシンガポールに「カジノ詣で」をして、いったい何を見てきたのでしょうか。
統合型リゾートでは、床面積に占める割合が3〜5%にすぎないカジノが、収益の8割をたたき出しているのです。どんなに華やかな外観で飾ろうとも、多くの人をかもにし、法外な金をむしりとる賭博場というのが、カジノの本質です。
2010年に開業したシンガポールのカジノでは(1)本人や家族などの申し出で入場を禁止する自己排除制度(2)自国民からの入場料徴収など、ギャンブル依存症対策の厳格な規制を行ったといいます。
しかし、開業後4年でカジノ入場禁止者は20万人を超え、自己破産も急増しています。バカラ賭博で106億8000万円を失った大王製紙の井川意高(もとたか)前会長がはまったカジノもシンガポールです。
これを「お手本」にするというカジノが、どうして「日本の成長戦略の目玉」たりうるというのでしょうか。
日本社会の良識を
「臨時国会でカジノ法案成立」をあて込んで、米国などの巨大カジノ資本は日本参入を目指し、自治体首長訪問などに躍起です。企業を対象にしたカジノビジネスのセミナーは花盛りで、「カジノ関連」と目される企業の株価が急騰する異常な事態も起きています。
カジノ合法化が未来の日本にもたらす惨害は確実です。いまこそ「カジノ賭博場はいらない」の声を広げるときです。日本共産党はカジノ合法化法案の廃案に向け、力を尽くします。