2014年7月30日(水)
集団的自衛権 公明が弁明に躍起
“専守”“歯止め”とごまかし
安倍首相 「ご苦労さま」と感謝
公明党が集団的自衛権行使容認の「閣議決定」について、安倍晋三首相の答弁などを示して「公明党が自衛権行使の拡大に厳格な歯止めをかける役割を果たした」(山口那津男代表、各地の会合で)と強調するなど、弁明に躍起となっています。
「首相、法制局長官答弁で明確になった新しい安全保障政策」。公明新聞19日付はこんな見出しの特集を組みました。
特集では、集団的自衛権をテーマに14、15両日行われた衆参予算委員会の集中審議で、公明党議員の質問に対し安倍首相が「憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢は変えず、専守防衛は維持する」と答弁したことを引用。さらに武力行使の「新3要件」について、横畠裕介内閣法制局長官が「わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻・重大な被害が国民におよぶことが明らかな状況」「(『新3要件』にある)『明白な危険』とは…客観的・合理的に疑いなく認められるもの」などと答えたことも引き合いに出しています。
こうした政府答弁を示すことで「専守防衛は堅持」「武力行使の歯止め」「恣意(しい)的判断できず」と主張しているのです。
しかし、その答弁自体がウソとゴマカシです。「海外での武力行使は許されない」としてきた従来の政府見解を百八十度覆し、集団的自衛権行使を容認しながら「これは自衛の措置」「専守防衛」と言いくるめています。
この集中審議では、公明党がこだわった「新3要件」に関し、安倍首相は他党の質問に「石油供給が回復しなければ、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が覆される」と答弁。岸田文雄外相は「日米同盟はわが国の平和と安定を維持するために重要。『新3要件』が該当する可能性が高い」と答えました。海外での武力行使に“歯止め”どころか、「エネルギー供給」や「日米同盟関係」を理由に無限定に武力行使が広がることが浮き彫りになったのです。“深刻・重大な被害”“明白な危険”の範囲を時の政権の判断によって広げていく考えです。
ところが、公明党は政府答弁にこだわりながら、こうした“本音”の政府答弁はいっさい触れません。
「閣議決定」の中身を密室協議で詰めた「安全保障法制整備に関する与党協議会」メンバーと23日に会食した安倍首相は席上、公明党の山口代表らに「ご苦労さま」と感謝しました。安倍首相らの答弁を使っての公明党の宣伝は「感謝」にたえないでしょうが、そんな言い訳が国民に通用するはずがありません。