2014年7月22日(火)
内閣府の消費者委員会
会議ルールおかしいぞ
“議長独裁”で発言者退去も
消費者の声を行政に届ける役割が期待される内閣府の消費者委員会が、このほど決めた会議運用のルールが「自由な議論を封じる」として問題になっています。消費者委員会で何が起こっているのでしょうか。(君塚陽子)
このルールは、「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」。8日の消費者委員会で決まりました。
下部組織とは、同委員会に設置された部会や調査会をさします。現在、食品表示や公共料金など生活にかかわるテーマで部会委員などが議論しています。
資料の提出を認めぬことも
「申し合わせ」は、会議参加者の位置づけや議長の権限、資料の提出などを定めています。
内容で目を引くのは「議長の権限」です。「発言者が制限時間を超えて発言し又は不穏当な言動があったときは、議長はその者の発言を制止し又は退去させることができる」などとしています。構成員や参考人の「資料の提出」も、議長判断で「認めないことができる」としています。
消費者行政に詳しく第1次消費者委員を務めた中村雅人弁護士は「すべて議長が決める“議長独裁”で、いろいろな人の知恵を集める場にふさわしくない」と批判します。
消費者団体は「議論封じだ」
「消費者委員や数々の検討会、審議会の委員も務めてきたが、こんなルールは見たことがない」と驚くのは主婦連合会参与の佐野真理子さんです。
消費者委員会事務局の大貫裕二参事官は作成にあたって「特に準拠したものはない」と認めます。
今回のルールの背景には下部組織の一つ、食品表示部会の運営があります。今年1月、同部会の栄養成分表示調査会では、資料を提出し、発言を希望するオブザーバーである部会委員の発言を議長がさえぎり、閉会を強行しました。
佐野さんは、「こうした議論封じにお墨付きを与えるもの。自由闊達(かったつ)に議論し、消費者の声を行政に届ける消費者委員会の存在意義が問われかねない」と指摘します。
消費者団体などでつくる「食品表示を考える市民ネットワーク」は同委員会、消費者担当相、消費者庁長官に抗議する予定です。
消費者委員会 内閣府の審議会の一つで、独立した第三者機関として2009年に設立されました。消費者庁をはじめ関係省庁の消費者行政をチェックし、意見表明(建議等)を行います。内閣総理大臣が任命した10人以内の委員(任期制)で構成されます。