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2014年7月19日(土)

主張

秘密法施行準備

「知る権利」奪う悪法は廃止を

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 安倍晋三政権が、国民の強い反対を押し切って昨年末成立させた秘密保護法の年内施行に向け、政令や運用基準の案を発表しました。秘密保護法は、防衛、外交などの行政情報について、政府が「安全保障に支障がある」と判断すれば「特定秘密」に指定し、国民の「知る権利」を奪うことになる希代の悪法です。公務員などが情報を漏らせば最高懲役10年の重罪が科せられます。政令や運用基準の案は、政府の恣意(しい)的な運用を防ぐとしていますが、歯止めと呼ぶには程遠く、国民の目、耳、口をふさぐ悪法は施行を許さず廃止するしかありません。

「安全保障」が目的の法律

 秘密保護法は、「特定秘密」を指定する目的に「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため」(第3条)と明記しているように、有事のための法律です。安倍政権は昨年末、内閣に事実上の「戦争司令部」というべき国家安全保障会議(日本版NSC)を設置する法案と一体で秘密保護法案を提出し、満足な審議もないまま、国会内外の反対を押し切って成立を強行しました。憲法を踏みにじって集団的自衛権の行使を認め、日本を海外で「戦争する国」にしようとする動きとも軌を一にしています。

 秘密保護法は、防衛、外交などの情報のうち、「行政機関の長」が「安全保障に支障がある」と判断すれば「特定秘密」に指定できる仕組みで、秘密の範囲はどこまでも広がる危険があります。今回発表された政令の案は、「特定秘密」を指定できる「行政機関の長」を国家安全保障会議や内閣官房、外務省、防衛省など19の行政機関の長に絞り込みました。「行政機関」の数が減ったのは除外された行政機関はもともと「特定秘密」を取り扱っていなかったというだけで、何の歯止めにもなりません。

 運用基準では、法律で防衛、外交など4分野23項目に分類していた「特定秘密」の対象となる情報を55項目に細分化し、「透明性」を高めたとしています。しかし、対象分野を細分化したといっても、たとえば法律の別表で「自衛隊の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究」となっていた項目が「自衛隊の訓練又は演習」「自衛隊の情報収集・警戒監視行動」「自衛隊法に規定する自衛隊の行動」などとされただけで、とても具体的になったとも範囲を限定したともいえません。

 しかもその項目のなかには法律別表に明記されていなかった「自衛隊及び米軍の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究」までもぐりこませています。自衛隊とともに米軍の秘密を守るねらいはより露骨です。

監視機関にも実効性ない

 安倍政権は、秘密保護法成立の土壇場で新たな監視機関を作ることを持ち出し、国民の世論をかわそうとしました。運用基準の案には、内閣官房に「保全監視委員会」を置くことや内閣府に「独立公文書管理監」を置くなどが盛り込まれています。いずれも内閣のなかの組織で、法律にも明記されず、実効性の保証はありません。

 安倍政権は政令と運用基準を形ばかりの意見公募をおこなって秋にも正式に閣議決定、年内に秘密保護法を施行しようとしています。秘密保護法を阻止・廃止する世論と運動がいよいよ重要です。


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