2014年7月9日(水)
高校教師向け自衛隊体験企画 本紙報道
北海道 父母らの反対で中止
北海道旭川市内の陸上自衛隊駐屯地で計画されていた「自衛隊の国際貢献」をテーマにした講演や装備品展示見学など事実上の「体験入隊メニュー」ともとれる高校社会科教師を対象にした研究会が父母、教師らの反対で中止となったことが8日、関係者への取材で分かりました。この問題は本紙5日付が「子を戦場へ送る準備か」と報道していました。
中止となった「自衛隊の国際貢献」の意義を高校の社会科教師に説く研究会は、旭川市と周辺町村の公立・私立高校の社会科教師でつくる上川管内高等学校社会科(地歴・公民科)教育研究会の主催で、17日に陸上自衛隊旭川駐屯地の北鎮(ほくちん)記念館などを会場に開く計画でした。
北鎮記念館は、日露戦争から太平洋戦争での旧日本軍の「軍神」を顕彰する侵略戦争賛美、自衛隊イラク派兵の記録展示などを中心とした軍事博物館です。
自衛隊食堂での「体験喫食」はじめ、「装備品展示見学」などの計画を6月中旬に知らされた管内の各高校の社会科教師や父母からは、研究会事務局に対し、「研究会というよりもまるで体験入隊ではないか」「『平和的で民主的な人格形成』を目的とする公教育の教師が研修する場所としてふさわしくない」などの疑問や開催中止を求める声が相次いで寄せられました。
研究会事務局は8日、管内各高校に対し「開催の中止を文書で伝える」としています。
上川管内高等学校社会科(地歴・公民科)教育研究会の田村二郎会長(北海道凌雲高等学校長)は本紙の取材に同日、「諸般の事情や関係者の意見も考慮し、自衛隊旭川地方協力本部とも協議した結果、今回は中止することにした。(研究会は)総会でもあり、内容も再検討して秋にも開催したい」と語りました。