2014年6月30日(月)
集団安保も他国領域の掃海も
歯止めなき武力行使 「想定問答集」 政府の本音
集団的自衛権行使を可能にするための解釈改憲に向けて、政府が国会での質疑などのためにつくった「想定問答集」の全容が、29日までにわかりました。安倍晋三首相の言明さえ覆し、武力行使を認めるなど、与党協議で示した閣議決定案の内容を拡大解釈するオンパレードで、“歯止めなき武力行使”の本音を浮き彫りにしています。
安倍首相は衆院予算委員会での集中審議などで「集団安全保障のなかで、武力の行使を目的とした戦闘に参加することはない」と答弁(5月28日)。ところが問答集では、「『新三要件』を満たすならば憲法上の『武力の行使』は許される」と明記しました。国連決議を背景にした多国籍軍参加も可能となり、政府の判断次第で集団的自衛権の行使にとどまらず、海外での武力行使を無限定に拡大させていく本音を露骨に示しています。
また集団的自衛権で「他国の領域に立ち入らない」方針とされていましたが、「他国の領域内における『武力の行使』に当たる機雷掃海」について「『新三要件』を満たす場合には、憲法上許されないわけではない」とし、他国領域での武力行使を公然と容認しています。
集団的自衛権行使の「新三要件」について「歯止めがないのでは」という疑問に対し、「要件に該当するか否かは政府がすべての情報を総合して客観的、合理的に判断」としています。まさに“政府の判断しだい”、「歯止め」がないことが明確になりました。
政府は与党協議で邦人輸送の米艦防護など、武力行使の8事例を示してきました。問答集は「実際には個別具体的な状況に即して総合的に判断」するとしており、「事例」は例示にすぎず、はるかに広い範囲で武力行使が可能となることを示しています。