2014年6月23日(月)
秘密国会法(情報監視審査会の設置)
仁比議員の反対討論
参院本会議
日本共産党の仁比聡平議員が20日の参院本会議で行った秘密国会法(情報監視審査会の設置)の反対討論(要旨)は次の通りです。
本法案は、戦後初めて国会に秘密会を常設するという極めて重大な法案で、国会のあり方の根本にかかわるものですが、自公両党は会期末ぎりぎりに提出し、実質、会期末前日に合意なく強行付託され、わずか7時間で強行採決されました。
議会のあり方に重い責任を負い、議事運営のルールを最も重んじねばならないのが、議院運営委員会と議運委理事会です。にもかかわらず、法案の内容の説明さえなしに提出され、理事会での協議もまったく行われないなか審議が強行されました。発議者の答弁は支離滅裂で、到底、審議に耐えるものではありません。昨年の臨時国会に続き、解釈改憲の暴走とあわせ、ここまでして憲法と議会制民主主義を壊して進もうとする与党の暴挙に、はらわたが煮えくり返る思いであります。
本法案は、第一に、昨年末、広範な国民の反対を押し切って安倍政権が成立した秘密保護法を前提に、その規定に従い、国会の委員会や国会議員が秘密を漏らさない厳格な仕組みをつくり国会を政府の秘密保全体制に組み込もうとするものです。
提案者は、政府の特定秘密を監視するといいますが、情報監視審査会の勧告に法的拘束力はありません。もともと何を特定秘密にするかは秘密であり、同審査会が個別秘密の提供を求めても、内閣が、我が国の安全保障に著しい支障をおよぼす恐れがあると判断すれば国会に提出されることはないのです。どこが監視だというのですか。国民の目をごまかし、国会が秘密の共犯者になることは断じてあってはなりません。
第二に、情報監視審査会はわずか8人の秘密会で、委員もメモさえとれず会議録も許可なく閲覧できません。国民には永久に公表されません。例えば時の政府が、国の存立が脅かされる恐れがあると判断して海外で武力を行使しようとした際、その根拠となった情報の提出を国会が求めても審査会が提出は求めないと決めれば、国政調査権は阻まれます。
そのような国会の秘密体制のため、実態が明らかになっていない事務局を置き、国会職員にプライバシーを洗いざらい調査する適性評価を持ち込むのは、憲法が求める国会のあり方を根本から壊すものです。
第三に、秘密の開示を決めた議員は、その内容を国会の外に漏らせば刑罰の対象に、国会質問で取り上げれば懲罰の対象とされ、除名処分まで受けかねません。懲罰事由の存否や重みの判断は何を根拠に行われるのかとの質問に、発議者はまともな答弁ができません。情報監視審査会長が懲罰すべきと報告しただけで、どんな秘密を漏らしたのか分からないままその議員が除名に値すると判断され議決するというのでしょうか。これは議会政治の命である議員の発言、討論の権利を議会多数派が恣意(しい)的に奪う暗黒国会にほかなりません。
国会は主権者国民を代表する唯一の立法機関、国権の最高機関です。憲法は国会に国政調査権を保障し、公開の原則、議員の発言権保障を明記しています。国会の第一の任務は政府を監視することであり、あらゆる分野で国政調査権を行使し、なかでも安全保障と軍事秘密、その実態を国民に明らかにすることが求められています。
秘密保護法を前提に、政府・行政の行為を国会の上に置いたのでは、国会はその憲法上の役割を果たせません。秘密保護法は、国民の知る権利を侵害し、憲法の基本原則を根底から覆す希代の悪法です。秘密保護法廃止こそ今なすべきであるということを強く訴えます。