2014年6月14日(土)
改憲手続き法改定案
仁比議員の反対討論
参院本会議
日本共産党の仁比聡平参院議員が13日の参院本会議で行った改憲手続き法改定案に対する反対討論(要旨)は、以下のとおりです。
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解釈改憲であれ、明文改憲であれ、わが国憲法の根幹である憲法9条をなきものにし、日本を「戦争をする国」に変える憲法改悪は断じて許されない。それが多くの国民の声です。
そもそも改憲手続き法は7年前、「戦後レジームからの脱却」「時代にもっともそぐわないのは憲法9条」と唱えた第1次安倍政権によって強行されたもので、9条改憲と地続きのものです。
その内容自体(1)改憲案に対する国民投票に最低投票率の定めがなく、投票権者のわずか1割、2割の賛成でも改憲案が通りうる仕組みになっていることをはじめ(2)最も自由であるべき国民の意見表明と国民投票運動を不当に制限し(3)改憲案の広報や広告を改憲推進勢力に有利な仕組みにするなど、できるだけ低いハードルで改憲案を通せるようにした極めて不公正かつ反民主的なものであり、それは国民主権と憲法96条の理念・趣旨に反する根本的欠陥にほかなりません。
投票権年齢、公務員などの運動規制、国民投票の対象という、いわゆる「3つの宿題」も、参議院における18項目にも及ぶ付帯決議も、そうした重大問題に発したものでした。
ところが本改正案は、その根本的欠陥をそのままに、国民投票をとにかく動かせるようにしようとしています。それは、明文改憲の条件づくりにほかなりません。
第一に、法案は現行法が義務付けたはずの選挙権年齢の18歳への引き下げを棚上げし、国民投票権年齢だけを確定するとしています。しかし、これは7年前、当の発議者が選挙権年齢を投票権年齢とともに引き下げることを国民投票の「大前提」「最低限の条件」と繰り返した答弁にも反するものです。
なかでも重大なのは、国民投票権年齢と選挙権年齢の一致を求める法律上のリンクを切り離し、選挙権年齢の18歳への引き下げについての法律上の期限をなくす点です。法的担保をなくせば、投票権年齢と選挙権年齢の不一致が長期間継続する事態も排除できません。
第二に、法案は、公務員による国民投票運動の自由が広範に制限されかねない規定を設け、罰則や「組織による国民投票運動」の規制を検討するとしています。しかし、それは公務員や教育者の運動を規制することによって広く主権者国民の自由な意見表明や国民投票運動を抑え込み、とりかえしのつかない萎縮的効果をもたらします。7年前、国民投票運動は自由であるとして削除された、裁判官など特定公務員四職種への禁止規定の復活は、その象徴です。
さらには、本改正案発議にあたって、7年前の審議で調査・検討が強く求められてきた最低投票率制度を検討さえしていないなど、参議院付帯決議を一顧だにしていないことも明らかになりました。
憲法は国民のものであり、主権者の力で時の権力の手を縛るものであります。法律の条文だけはどんなに整えても、憲法破壊を許さない国民的世論の広がりが立ちはだかるでしょう。欠陥だらけの改憲手続き法は、改定ではなく廃止すべきことを強く求めます。