2014年4月21日(月)
きょうの潮流
今日から始まる靖国神社の春季例大祭を前に、閣僚の参拝がつづきました。昨年末に参拝した安倍首相と同じく、国のために命を犠牲にした英霊たちに哀悼の誠を、と口にしながら▼この神社には先の戦争を計画、開始、遂行した責任者がまつられています。東京裁判で裁かれたA級戦犯です。しかも、アジアで2千万をこえる命を奪った日本の侵略戦争を、いまも“正しかった”と宣伝している施設です▼もしドイツが戦後、ヒトラーやナチスの幹部に哀悼の意を示してきたら、欧州では生きられなかったでしょう。反省もせず、国際社会の出発点にも背を向けつづける日本の政権党の異常さ、愚かさに、空恐ろしさを覚えます▼先日、読者から1枚のDVDが送られてきました。題名は「右傾化の源流」。いまから58年前のラジオ番組で流されたA級戦犯の肉声が収録されたものです。いずれも、みずからの戦争責任を認めず、自衛のためだったと▼「戦(いくさ)をやったことは向こうにも責任がある」(鈴木貞一(ていいち)・元陸軍中将)「敗戦はわれわれの責任ではない」(賀屋興宣(かやおきのり)・東條内閣大蔵大臣)。国民や世論に責任を転嫁したり、憲法の改正や教育勅語の復活を堂々と主張する戦犯も▼番組の制作者は昨年、地方紙の取材に彼らの姿勢は「いまの安倍内閣に相通じる」と答えています。その読者も同じ思いだと。番組は最後に女性の原爆被災者を登場させます。「また戦争をしたい人がいたら、私の顔を見せてやりたい。そんな人は人間じゃ絶対にない」