2014年4月15日(火)
国民は改憲を望まず
改憲手続き法改定案審議入り
笠井 亮議員に聞く
自民、公明、民主、維新、みんな、結い、生活の7党は改憲手続き法(国民投票法)改定案を共同提出(8日)し、今国会中に成立させることを狙っています。同改定案をめぐる問題点について、日本共産党の笠井亮衆院議員に聞きました。
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改憲勢力の焦り
―7党は、憲法改定の手続きを整えようとしています。なぜ、いまなのでしょうか。
改憲勢力は、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認しようという動きを強めれば強めるほど、このままでは長年来の野望である明文改憲がいっそう遠のいてしまうのではないかと危機感を募らせています。
自民党の船田元衆院議員(党憲法改正推進本部長)は「(集団的自衛権の行使容認のために)拡大解釈を自由にやるなら憲法改正は必要ないと言われてしまう」(3月13日)と述べ、解釈改憲が先行することで明文改憲の機運が萎(しぼ)むことへの懸念を示しています。そこで、改憲手続き法を改定することで、改憲の条件づくり、「世論づくり」を狙っているのです。
しかし、国民の意思は、最近の世論調査でも、9条はもちろん、憲法そのものの改定が「必要ない」が多数になっています(グラフ参照)。国民は、安倍政権が進める「戦争する国づくり」につながる解釈改憲はもちろん、明文改憲のための改憲手続き法の整備も望んでいません。国会の中では改憲派が多数に見えますが、国民の中では「憲法を守れ」が多数派なのです。
改憲手続き法の改定が突然持ち上がるのも、国民の支持を得られない改憲勢力の焦りの表れだといえます。
「とにかく改憲」
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―7党が共同提出した改憲手続き法改定案をどう評価しますか。
一言でいって、現行法の抱えるさまざまな問題点を先送りし、とにかく改憲の国民投票ができるように形だけ整えようというものです。
改憲手続き法は、2007年の第1次安倍内閣時に自民、公明両党が国民の反対を押し切って強行成立させたものです。日本共産党は、9条改憲の条件づくりだとして同法に強く反対を貫きました。
成立から3年後の10年5月に施行されはしたものの、法律で義務付けられていた選挙権年齢や成年年齢などの18歳への引き下げ等には、政府や自民党内からの抵抗も強く、まったく手がつけられていません。現在、法律はあっても、実際には国民投票はできない状態にあるのです。
これを「打開」し、国民投票ができるようにしようと、自民、公明など7党が8日に共同提出したのが、改定案です。
マスコミのなかには、これを「前進」であるかのように報じるものもありますが、そうではないんです。
もともと改憲手続き法案を審議した当時の憲法調査特別委員会での推進派の議論は、個人を選ぶ選挙とは違い、憲法にかかわる国民投票なのだから、投票権年齢は可能な限り引き下げ、公務員も含めできるだけ多くの国民の運動参加を保障しようというものでした。
その結果つくられた現行法では、当初20歳以上としていた投票権年齢も18歳以上に引き下げ、さらに施行後3年以内(10年5月まで)に選挙権年齢・成年年齢(20歳以上)も18歳に引き下げることが義務づけられていたのです。
ところが改定案は、18歳以上にすることを改定法施行後4年間先延ばしにして当面20歳にしたうえ、選挙権年齢の18歳への引き下げは「検討」するというだけです。その上、公務員の国民投票運動に新たな制限まで加えるというのです。
まして、現行法には国民投票の最低投票率の規定すらなく、1割、2割の国民の賛成でも改憲案が通ってしまうという根本的な問題点は、何の見直しもしようとしていません。
ともかく改憲案を通しやすくしようという改定案は、二重三重に憲法、国民主権をないがしろにするものです。
憲法を生かす
―7党は、国会での数を頼みに、改定案の成立を狙っています。
7党は、国民的議論もないまま一気呵成(かせい)に押し通そうと、衆院憲法審査会で4月24日に採決という提案すら出ていますが、数を頼みに悪法を押し通すことなど許されません。
改定案は、密室でつくられたものであり、各界の参考人質疑を含め、国会で徹底した審議こそ必要です。
これまで改憲の国民投票ができないことで、国民は何も困ることはありませんでした。それは国民が改憲を求めていないからです。
2007年に改憲手続き法が強行された際も、国民は直後の参院選で、改憲前のめりの安倍政権に厳しい審判を下し、政権投げ出しに追い込みました。
いま解釈改憲であれ、明文改憲であれ、国民の意思に反してたくらめばたくらむほど、追い詰められていくのは安倍政権と改憲勢力です。
国民が求めているのは憲法を平和と暮らしの隅々に生かすことであり、改憲手続き法は改定ではなくきっぱり廃止すべきです。