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2014年4月2日(水)

主張

武器輸出の解禁

「平和の歩み」変質に抗議する

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 安倍晋三内閣は1日の閣議で、武器輸出を原則禁止していた「武器輸出三原則」を廃止し、武器輸出を原則解禁する「防衛装備移転三原則」を決定しました。国会での審議も一切しないで、日本国憲法の平和主義に基づく国の基本方針を百八十度転換するものであり、強く抗議します。

軍需企業の要求受け

 今回の決定は、武器を輸出しない平和国家として軍縮分野で一定の国際的役割を果たしてきた道から、武器輸出国として軍縮に真っ向から反する武器取引によって他国を影響下に置こうとする道へと、日本の歩みを大きく変質させることにつながります。

 外務省が2008年に発行した「小型武器と対人地雷―日本の取組―」と題するパンフレットがあります。小型武器について「毎年50万人の命を奪う『事実上の大量破壊兵器』」だとして問題解決に向けた取り組みの重要性を訴えた冊子です。とりわけ日本が国際社会で主導的な役割を果たしていることを紹介し、その理由について次のように述べています。

 「日本は外国為替法と武器輸出三原則等に基づき、原則として武器輸出を行っていません。輸出を前提とした軍需産業もありません。このため、国際社会に小型武器問題が提起されて以来、国連を中心とする枠組みを通じて国際社会をリードしています」

 一方、自民党の石破茂幹事長は今年2月発行の著書で、「国の外交力」の「重要な要素」として「集団的自衛権を含む安全保障の力」とともに「武器輸出」を挙げています。その上で「『日本は武器を輸出していないんだってさ。立派だね』などとは誰も言ってくれません」と、「武器輸出三原則」に基づき展開してきた外交をやゆしています(『日本人のための「集団的自衛権」入門』)。これまで、「武器輸出の禁止」を国の外交力にしてきた日本の歩みの自己否定です。

 今回決定された新原則は前文で「これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持」すると述べていますが、実態とかけ離れた空文にすぎません。

 「平和国家の歩み」を変質させる今回の新原則が、軍需企業の強い要求に応えて決定されたことも重大です。

 軍需企業は、もうけ口拡大のため「武器輸出三原則」の見直しを長年にわたり求め、一昨年末の安倍政権発足をその好機ととらえていました。兵器メーカーの業界団体である「日本防衛装備工業会」が昨年1月に開いた賀詞交換会では、当時の経済産業副大臣が「防衛産業が成長戦略(アベノミクス)の一丁目一番地になるくらいの思いで取り組む」と語り、関係者を喜ばせました。

 しかし、一部軍需企業の利益のために武器の輸出や武器技術の開発を支援することについて、外務大臣経験者からも「国連などを通じ、小火器の回収・廃棄のイニシアチブをとってきた日本の外交政策と相いれない」と厳しい批判の声が上がっています。

世論と運動を急速に

 武器輸出の解禁を強行した安倍政権は、集団的自衛権行使のための解釈改憲に向けた動きを強めています。憲法の平和主義を踏みにじる「戦争できる国」づくりを許さない世論と運動を急速に広げていくことが大切です。


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