2014年3月27日(木)
日米韓首脳会談
日韓関係改善へ 問われる安倍政権
避けて通れぬ歴史問題
25日(日本時間26日未明)の日米韓首脳会談で日韓の首脳が1年10カ月ぶりに会談しました。冷え込んだ両国関係の改善に向けたきっかけにできるのか。今後の日本政府の対応が問われています。
会談が在オランダ米国大使公邸(ハーグ)で行われたように、今回の会談は米国の強い仲介で実現しました。
「日韓両国は米国にとって世界でも最も緊密な同盟国だ。アジア太平洋地域における米国の役割は同盟の強さにかかっている」。オバマ大統領が冒頭、こう述べたように、米国は日米、米韓同盟をアジア太平洋戦略の重要な足場と考えています。
とりわけ、米国本土に到達する長距離弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮の核・ミサイル開発を「米国に対する脅威」とするオバマ政権にとって、この問題に対処するためには日米韓3カ国の連携が必要だとの認識です。
北朝鮮が26日未明から、弾道ミサイルを次々と日本海に向けて発射したように、この問題は日韓両国にとっても共通の懸案です。北朝鮮問題に特化すれば、首脳会談は実現するとの判断が働いたものと見られます。
日本国内でも、財界などが日韓関係の改善を求めていました。なによりも4月のオバマ大統領訪日に向けて、安倍首相の靖国参拝で生じた日米の隙間を修復する思惑もあったと見られます。
今回の会談で、北朝鮮の核開発問題について安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領は初めて意見を交わしました。
ただ、両国関係が冷え込んだ大本の原因である安倍首相の歴史認識問題や旧日本軍「慰安婦」問題などについては、なんらの意見も交わされませんでした。この問題での日韓両国の隔たりは変わらないままです。会談で朴大統領は、固い表情を崩しませんでした。
安倍首相は会談後、記者団に「今回の会談を、今後未来志向の日韓関係に発展させていく第一歩にしたい」と語りました。そのためには、歴史認識問題、旧日本軍「慰安婦」問題の解決は避けて通れません。安倍政権の態度が問われています。 (山田英明)