2014年3月17日(月)
修習生142人がバイト
「貸与制」で経済苦深刻化
司法修習の形骸化に
法律家になるためのトレーニングを受ける司法修習生について、最高裁判所は禁止していた修習生のアルバイトを昨年11月から“解禁”しました。その結果、司法修習生1972人のうち7%にあたる142人(1月末時点)がアルバイトをしていることが16日までに、最高裁への取材でわかりました。
司法の担い手を育てる司法修習では、「給費制」が1947年から行われ、生活費を国が支給してきました。修習生が修習に専念するようにアルバイトを禁止し、その代わりに経済不安がないよう生活費として給費を支給してきました。
ところが、国は「給費制」を2011年11月に廃止。代わって修習生に生活費を貸す「貸与制」となり、修習生や法律家を目指す若者の経済困難がより深刻化する事態を招いています。
この問題を話し合った政府の法曹養成制度関係閣僚会議の結論を受け、最高裁は、昨年11月から研修を開始した修習生に、許可制でのアルバイトの一部解禁を認めました。
修習生のできるアルバイトは、修習がない土日だけとし、職種も法科大学院での添削などに限られています。
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こうしたアルバイト解禁が、司法修習の形骸化につながる懸念が指摘されています。
日本弁護士連合会(日弁連)が、12年と13年に行ったアンケートによると、休日に裁判官などが主催する勉強会や研修などの自己研さんの活動に参加する修習生は7割におよびます。(表)
休日でも修習先の裁判所で課された判決案づくりなどの“残業”に追われる修習生は2〜3割に。平日の残業は8割を超えます。
アンケートからは、司法修習が休日も使った厳しいトレーニングの場ということが見えてきます。
アルバイト解禁によって、厳しい経済状況の修習生ほど、充実した修習が受けられない事態は、司法を利用する国民の利益を害することになりかねません。