2014年2月25日(火)
法務省“刑罰で威嚇”に反対
秘密保護法検討過程わかる
「緊張感与える」の文言で押し切る
有識者会議報告
秘密保護法制の考え方をまとめた政府の有識者会議報告書は、「秘密を取り扱う者に緊張感を与える」ことを罰則の目的の一つにしています。こうした公務員や民間人を厳刑で威嚇する文言が、有識者会議の最終盤で突如、法務省の反対を押しきって書き込まれていたことが24日、本紙が情報公開請求で入手した資料で判明しました。秘密保護法が構想の段階から、国民への威嚇や萎縮効果を狙っていたことを示すものと言えます。 (矢野昌弘)
本紙が入手したのは、法務省が2011年6月20日に内閣情報調査室に提出した「秘密保全法制に係る有識者会議報告書案について」と題する文書です。
文書は、同月10日に開いた最後の有識者会議で、突如、盛り込まれた一文を問題視しています。
報告書案の「罰則の検討に際しては、罰則が特別秘密を取り扱う者に緊張感を与え、その保全意識をより高めると考えられることにも留意すべき」だとする記述です。同年5月時点までの報告書案には、こうした記述は一切ありませんでした。
この記述について、法務省は6月20日の文書で削除するか修正を求めています。
その理由について法務省は「(刑罰は)一般的に違反行為に対して刑罰をもって臨むことが行政の円滑な実現及び秩序維持に必要不可欠と認められる場合に設けられる」として、刑罰は「行為」に対して行うべきものだと説明。
その上で「必要性の有無を離れて罰則が特別秘密を取り扱う者の意識向上のために設けられるものであるとの誤解を与える」と、萎縮効果を目的とすることに疑念を表明しています。
法務省の反対があったにもかかわらず、同年8月に完成した報告書では、有識者会議の文言がほぼそのまま掲載されました。
この報告書づくりをめぐっては、ミスや予期せぬトラブルで情報漏えいした過失犯への処罰についても、法務省が「慎重に検討する必要がある」と懸念を表明していました。(11日付既報)
政府内部からの懸念は、秘密保護法が司法制度の原則を踏みにじった弾圧法として最初からたくらまれていたことが浮き彫りになります。
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