2014年2月7日(金)
独前首相を盗聴・監視
米NSA 在任時、イラク戦争反対で
ドイツのシュレーダー前首相が在任時代に米国の国家安全保障局(NSA)の監視対象となり、電話を盗聴されていたことが南ドイツ新聞と北ドイツ放送(NDR)の4日の報道で明らかになりました。ドイツでは昨年6月以来、NSAがメルケル首相の携帯電話を含め広範な市民や企業の通話を盗聴・傍受していたことが暴露され、同首相が1月29日の連邦議会での施政方針演説で、同盟国間に「不信の種をまいた」と米国を非難したばかりです。
マース法相は5日、NSAの横暴で大規模な監視活動を「安全保障を隠れみのにした無制限の情報収集」(シュピーゲル誌電子版)と非難。シュレーダー氏自身も「米国は忠実な同盟国、わが国の主権を尊重していない」(ビルト紙)と不快感を表明しました。
シュレーダー氏は、1998年から2005年にかけて、社会民主党と90年同盟・緑の党の連立政権の首相を務めました。報道によると、米国のブッシュ政権が開戦を目指していた対イラク戦争にドイツ政府が反対したことが、盗聴の根拠とされ、「国家シギント(信号情報活動)要請リスト388号」により、遅くとも02年から始まったといいます。同紙は、この要請リストには、首相名は書かれておらず、05年の政権交代以後は、後任のメルケル首相が監視・盗聴の対象となったとみられると報じています。
シュレーダー氏は、「当時は米機関による盗聴は思いも及ばなかったことだが、今なら驚くことではない」と語っています。(夏目雅至)