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2013年12月18日(水)

主張

「安全保障」戦略

軍事一辺倒で安全は守れぬ

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 「根幹となるのは自らが行う努力」「(その)ことを前提として、日米同盟の抑止力及び対処力を強化していく」―安倍晋三政権が「国家安全保障戦略」とともに決定した「防衛計画の大綱」に盛り込んだこの言葉が、安倍政権の異常な大軍拡と日米軍事同盟強化の路線を示しています。「国家安全保障戦略」は、安倍政権が秘密保護法と一体で成立させた国家安全保障会議(日本版NSC)の初仕事となるものです。「防衛計画の大綱」では「統合機動防衛力の構築」を打ち出しました。軍事一辺倒への前のめりは明白です。

一路「戦争する国」へ

 最近、数百年前の戦国時代に殺害された織田信長の家督相続騒動を取り上げた「清須会議」という映画が話題になりましたが、そこで戦闘しか知らない柴田勝家は、外交にたけた羽柴秀吉に敗れるというのが筋書きでした。その時代に比べても紛争は軍事によらず外交で解決するというのが世界の大勢になっているのに、なぜ日本だけが軍事一辺倒なのか。

 「国家安全保障戦略」は、北朝鮮の軍事力の強化や中国の急速な台頭など、アジア太平洋の安全保障環境の変化を取り上げますが、問題を外交で解決する展望は打ち出そうとはしません。「積極的平和主義」の名前で掲げる「国家安全保障の目標」は、第1が日本の「抑止力」の強化であり第2が「日米同盟の強化」です。「外交努力」や「人的貢献」はあとまわしです。

 日本が軍事的な役割を担い、アメリカを武力で助ける国になりたいという一念で安倍首相がもちだした「積極的平和主義」がめざしているのは、日本が「集団的自衛権」を行使し、アメリカが行う戦争を手助けすることです。かつての侵略戦争の反省を踏みにじり、憲法の平和主義に反して、日本が再び「戦争する国」になる策動を、日本国民も世界も歓迎しません。安倍政権の「積極的平和主義」は、日本の安全を守るどころか世界で孤立する道です。

 安倍政権が「防衛計画の大綱」で持ち出した「統合機動防衛力の構築」は、陸海空3自衛隊を一体で機動的に運用し、日本の「離島防衛」はもとより、アメリカがイラクを侵略して始めた戦争のような場合にも、迅速に出動する態勢づくりです。「大綱」は陸海空自衛隊が「国際平和協力活動等を有効に実施」するとのべています。

 「大綱」が、弾道ミサイル発射への対応を強化するとして将来の「敵基地攻撃能力」の保有に含みをもたせたのも問題です。日本が攻撃されてもいないのに、アメリカに向かうかもしれないという理由だけで他国のミサイル基地を攻撃するのは、憲法違反の先制攻撃です。それこそ日本の安全を危うくするものです。

軍拡路線の転換を

 「戦略」や「大綱」には、一方的な「愛国心」の押し付けや、日本製の兵器で他国民を殺すことにもなる「武器輸出三原則」の廃止など、問題点が山積みです。

 しかも「大綱」と同時に決定された「中期防衛力整備計画」では、アメリカから新型輸送機オスプレイ17機と水陸両用車52両を買うなど、5年間で24兆6700億円もの軍備増強を盛り込みました。あまりに異常な軍拡計画です。

 大軍拡と軍事同盟強化の路線の根本からの転換が不可欠です。


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