2013年12月13日(金)
保育所死亡事故124件
04〜12年 自治体の報告漏れ追加
厚生労働省は11日、自治体が国に報告していなかった保育施設での死亡事故が2004年から12年までに31件あったと発表しました。発覚した死亡事故件数は認可保育所が9件、認可外保育施設が22件。これまで、その間の死亡事故は93件とされてきましたが、今回発覚したものをあわせて124件となりました。認可・認可外を問わず、子どもの命を守る保育環境になっていない実態があることを示しています。
今年10月に報道機関から厚労省に、自治体報告に漏れがあると問い合わせがあり発覚。同月から109自治体を対象に再調査を実施したところ、21自治体で報告漏れが判明しました。
厚労省は報告漏れの理由について、自治体の担当者が「睡眠中の死亡」や「病死」「原因不明の死亡」などの事案について「事故」という認識がなかったためとしています。
調査結果を受けて、厚労省は同日、保育所での死亡事故について睡眠中の死亡や原因不明の死亡など理由にかかわらず全て報告するよう要請する事務連絡を自治体に出しました。
解説
規制緩和 命脅かす
今回の死亡事故の実態は規制緩和など許されないことを改めて浮き彫りにしています。今回新たに発覚した死亡事故31件のうち27件が「睡眠中」です。保育での死亡事故でもっとも多い状況が午睡中(睡眠中)であり、人員体制の拡充は急務です。
今回の追加報告件数を加えた死亡件数は2004年から10年間で、認可保育所が41件に対し、認可外保育施設が83件と倍となっています。認可外では専門性のある保育労働者が少なく、非正規労働者が多いなど事故防止体制が弱いのが実態です。
ところが安倍政権は待機児童解消を理由に、これまで認可外だった施設を保育事業に参入させようとしています。死亡事故件数が多い0〜2歳児を対象とする小規模保育では、人員配置は有資格者は半分でよいとしています。規制を緩和し、詰め込みを図り、子どもの命を脅かすことは認められません。 (下渕雅史)