2013年11月26日(火)
審議尽くされていない
国民の声聞き廃案に
2週間で採決狙う自・公・み■全国に広がる反対
政府がもつ膨大な情報を閣僚らが「秘密」に指定し、それを漏らしたり、知ろうとする国民を重罰に処す―。戦前の治安維持法をほうふつとさせる悪法を、自民、公明の与党とみんなの党はわずか2週間の審議で採決しようとしています。国会との関係でも、秘密を提供するかどうかは政府次第で国会議員も処罰されるものです。それを、まともな審議もないまま強行採決するなどというのは、国会の自殺行為そのものです。
憲法否定する構造
そもそも法案の概要が国民に初めて示されたのが9月3日。パブリックコメントはたった2週間で打ち切られましたが、賛成1割、反対8割という結果でした。自民、公明の協議を経て法案が閣議決定されたのが10月25日です。わずかな審議でも、無限定な秘密指定、広範な処罰範囲、一般国民とマスメディアに対する監視・弾圧の体制、国会に対する行政・官僚の優位など、憲法否定の危険な構造が明らかになりました。「まさに『政府保護法案』であり、『国民監視法案』」(琉球新報26日付)など、国民、マスメディアから批判が一気に高まりました。
21日には東京・日比谷野外音楽堂に1万人を超える市民が結集する大集会となりました。憲法・刑法・歴史学などの研究者、全国のすべての弁護士会、作家やジャーナリスト、出版人、演劇人、市民団体など、法案への批判と反対の波が全国で広がっています。「朝日」23日付社説も、「これで採決などできぬ」としました。
国会はまずなによりもこの国民の声を聞くべきです。
「修正」でより後退
国会では、与党とみんな、維新などとの「修正」協議のもと、与党席はガラガラ、審議の中断もありました。森雅子担当大臣は「修正協議に影響する」などとして何度も国会答弁を拒む一方、「法案成立後の改善」など不見識な答弁まで飛び出しました。法案の持つ、数え切れない深刻な問題点について審議が尽くされたとは到底いえません。
みんな、維新との「修正」で、秘密の指定期間が30年から実質的に60年に延びるなど、より後退しました。維新の党内手続きでは、賛成27、反対23と「賛否は互角」(党幹部)となったのです。
国民の目、耳、口をふさぎ、「戦争への道」をすすむのか、憲法の基本原則を守るのか、日本の歴史を左右する法案です。強行採決は論外であり、徹底審議のうえ廃案にするほかありません。
(中祖寅一)