2013年11月25日(月)
NHK「日曜討論」
山下書記局長代行の発言
日本共産党の山下芳生書記局長代行は24日のNHK番組「日曜討論」に出演し、「1票の格差」問題や秘密保護法案について各党の代表と討論しました。
「1票の格差」最高裁判決について
小選挙区制の欠陥を指摘した判決――民意反映する比例代表に改めよ
「1票の格差」が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選について「違憲状態」とした最高裁判決(20日)。自民党の高村正彦副総裁は「『違憲状態』にとどめてくれたのはありがたかった」と発言。民主党の高木義明代表代行は「定数削減も党首間の約束であり、ぜひ実行を」、公明党の北側一雄副代表は「定数削減は重要な課題だ」と応じました。日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長も「来年4月から消費税増税というときに、国会がまず身を切る改革をしなければいけない」と定数削減を求めました。これに対し、山下氏は次のように語りました。
山下 今回の判決は、格差が2・43倍あった昨年の総選挙は憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったと厳しく指摘しています。しかも、(小選挙区を)0増5減しても、今後の人口変動により、再び格差が2倍以上の選挙区が出現し、増加する蓋然(がいぜん)性が高いと指摘しています。これは小選挙区制のもつ根本的欠陥だと思います。つまり、小さな選挙区で1人しか当選しない制度だから、選挙区ごとの人口変動ですぐに1票の格差が広がってしまう。
もう一つの欠陥は、民意が正確に議席に反映されないということです。この制度で6回の総選挙が行われましたが、第1党が4割台の得票率で7割から8割の議席を得ている。民意を大きくゆがめてしまう制度です。こんな小選挙区制は廃止して、民意が正確に反映される比例代表制に改めるべきだと思います。
「1票の格差」どう解消するか
民意を削る定数削減には反対――自公民協議での結論押し付けやめよ
「1票の格差」をどう解消していくかについて、自民、公明、民主各党は現行の小選挙区制を維持して定数削減をすすめる立場に固執しました。これに対し、山下氏は次のように主張しました。
山下 小選挙区制の維持では、1票の価値の平等も、民意の正確な反映も実現できません。それから、小選挙区制を導入した当時の細川護熙元総理、河野洋平元自民党総裁も、小選挙区制が「政治の劣化を招いた」と反省されていますから、こういう制度は廃止すべきです。
定数削減は、国民の代表を減らす、民意を削るということです。日本の国会議員は諸外国と比べて決して多くありません。イギリスは国民4万4000人に対し国会議員が1人選ばれますが、日本は国民17万7000人に対し国会議員1人ですから、4分の1の少なさです。「身を削る」というなら、本来、国民の福祉や教育、医療に使うべき税金から出ている政党助成金こそ廃止すべきだと思います。
もう一点、6月25日、選挙制度に関する与野党実務者協議の確認事項という文書があります。ここでは、「現行(小選挙区比例代表)並立制の功罪を広く評価、検証し、抜本的な見直しについて、参院選挙後、すみやかに各党間の協議を再開する」と。全党で抜本見直しをやろうと言っていたのに、(自民、公明、民主の)3党だけで協議して全然別の結論を押しつけてくるというのは、選挙制度という民主主義の根幹を扱うにしてはあまりにも乱暴なやり方です。
秘密保護法案
矛先は公務員だけでなく全国民に向けられている――廃案しかない
秘密保護法案について、与党との間で修正合意した、みんなの浅尾慶一郎幹事長は「(秘密保護法案が)いらないという立場ではない」と表明。維新の松野氏も「私たちも秘密保護法制は必要だ」と述べ、それぞれの修正点を説明しました。これに対し、山下氏は次のように述べました。
山下 (当事者の)首相を「第三者」というのが、みんなの修正です。秘密指定期間を原則30年から60年に延長するのが維新の修正ですから、法案の中身を変えないどころか、さらに改悪するものだと言わなければなりません。
秘密保護法案というのは、政府が持つ膨大な情報のなかから政府が特定秘密を指定して、秘密をもらす人、秘密を知ろうとした人などを厳罰にするというものですから、矛先は公務員だけでなく、すべての国民に向けられています。国民には何が秘密かも秘密ですから、例えば原発事故が心配だといって写真を撮ってブログにのせたら、ある日突然、警察がきて逮捕ということにもなりかねない。国民のあらゆる自由な活動が圧殺されます。
逮捕されたら、裁判でも特定秘密は開示されないわけで、弁護士はどう弁護していいかわからない。何によって裁かれているかもわからないまま重罪にされる。こんな空恐ろしい暗黒社会を許してはならない。法案は廃案しかありません。
国民の自由な活動萎縮――国民の不安・怒りを国会はもっと受け止めよ
みんなの浅尾氏は「特定秘密に指定されていないものを知らない限りは故意・または過失にならない」と述べ、刑罰の対象者を狭めて説明しました。山下氏は反論しました。
山下 知らなければ逮捕されないという話でしたけれど、特定秘密だと知っていたかどうかを判断するのは、本人じゃなくて、警察です。逮捕されて、勾留されて、自白を強要されるというのがいまの日本の司法警察ですから。総理もそういうことはあり得ると国会で認めているんです。11月20日のやりとりで答弁しています。
逮捕されて勾留されるだけでも、国民のいろいろな自由な活動は萎縮します。そういう効果がこの法案にはあります。だからいま、これだけたくさんの人々が反対しているわけですよ。国民のなかでこの法案に対する不安と心配、怒りがこんなに広がっていることをもっと国会は受け止めるべきだと思います。