2013年11月9日(土)
国家戦略特区法案 審議入り
「格差拡大と経済低迷もたらす」
衆院本会議 佐々木議員
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政府指定の特定地域内で医療、農業などの規制緩和や優遇税制を実施し、大企業を支援する「国家戦略特区法案」が、8日の衆院本会議で審議入りしました。法案は安倍政権の「成長戦略」の柱の一つ。質問に立った日本共産党の佐々木憲昭議員は「いっそう深刻な格差と経済の低迷をもたらす」と主張しました。
佐々木氏は法案の三つの問題点をあげました。一つ目は、司令塔として設置する「戦略特区諮問会議」についてです。法定組織として強力な権限を持ち、首相が任命した民間有識者も構成員となることから、佐々木氏は「企業利益に直結する規制緩和をトップダウンで進める体制づくりだ」「ブレーキの無い『規制緩和暴走機関』になる」と指摘しました。
二つ目は、政府が募集した規制緩和提案への242団体・197件の応募のほとんどが企業側からで、加えて内容の一部が非公開とされていることです。佐々木氏は「全ての情報を公開すべきだ」と迫りました。
三つ目に佐々木氏は、特区で実行される規制緩和などによって環境破壊や労働条件の悪化、医療被害などの影響を受ける可能性のある住民の意見を反映する筋道が法案にはないと指摘。「悪影響を受ける国民の声を無視し、被害を放置することになる」と批判しました。
佐々木氏は、これまでの規制緩和が非正規雇用の拡大や過労死などの深刻な社会問題を引き起こしたと強調。「この法案で規制緩和が進めば、格差と貧困を加速する」と述べました。
安倍晋三首相は、企業収益増加が雇用や賃金上昇につながるとする破たんずみの理論を展開し、「企業にとって成長の起爆剤となる世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出する」と述べ、大企業優遇を推進する姿勢を際立たせました。