2013年10月29日(火)
情報収集 陸自上層部の指示
国民監視差し止め訴訟 元隊長が証言
自衛隊情報保全隊による国民監視の差し止めを求める訴訟の控訴審第6回口頭弁論が28日、仙台高等裁判所で開かれました。元陸上自衛隊情報保全隊長の鈴木健氏の3回目の証人尋問が実施され、情報保全隊が他の情報機関と連携して国民監視をしていることを認めました。
鈴木氏は、原告弁護団から「警察から情報を受けることはあったのか」と問われ、「情報を受ける対象は、すべての行政機関だった」と述べました。詳細については答えませんでしたが、警察も含まれていることは否定せず、事実上すべての行政機関から非公開の情報の提供を受けていたことを明らかにしました。
また、鈴木氏は、どのような情報を収集するのかの判断は、陸上幕僚監部の運用支援情報部(当時)からの指示を得ていたと証言。イラク派兵反対の市民の運動の監視など、国民監視が自衛隊上層部の指示で行われていたことが明確になりました。
裁判後の報告集会で、原告団からは「秘密保全法案が通ったら、このような裁判もできなくなる。国民を監視し、情報を隠す実態をさらに追及していこう」と決意が語られました。
同訴訟は、自衛隊情報保全隊にイラク派遣反対運動を監視されたとして、東北6県の住民が情報収集の差し止めなどを求め訴えたもの。一審仙台地裁は12年3月、原告5人についての情報収集は違法だとして賠償を認めましたが、差し止め請求は却下。原告、国の双方が控訴しました。