2013年10月11日(金)
読者の質問に答えます
消費税増税には反対 でも財源は?
読者から「消費税増税には反対だが、財源はどうしたらいいのか」という質問が来ました。この問題を考えます。
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「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために、財源の確保は待ったなし」―。安倍晋三首相は1日、来年4月からの消費税率引き上げの必要性についてこのように述べました。しかし消費税増税は景気悪化と税収減を招き、際限のない「増税路線」に陥りかねません。日本共産党は2012年2月に発表した「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」で、「消費税に頼らない道はある」と主張しています。
社会保障の拡充と国民の所得増を一体に
安倍首相は「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指すことをスローガンとしています。1日の会見でも「企業の収益が伸びていけば、雇用が増えていきますし、さらに賃金が増えていけば、家計も潤っていく」と述べました。大企業の収益が上がれば、労働者にも“おこぼれ”が回るという立場です。経済対策には特定の地域を対象に雇用規制を緩和する国家戦略特区の推進などが盛り込まれています。
しかし、雇用を不安定にしたのでは賃金は増えないうえ、将来不安から個人消費も落ち込む一方です。しかも、「賃金を増やす」と言いながら、国家公務員の賃金は削減しました。公務員賃金は民間企業の賃金水準の指標ともなるもので、政府自身が賃下げ運動をしているようなものです。
日本共産党は社会保障の充実と国民の所得を増やす経済の民主的改革を一体で進めることを提起しています。社会保障が充実すれば将来不安がなくなり、個人消費が増え、経済が活性化します。国民の所得を増やす経済改革が進めば、税収が増え、社会保障充実の財源も増えるからです。
経済の民主的改革は、人間らしく働けるルールを作ることや、雇用の7割を支える中小企業の経営を安定させることが柱となります。270兆円にも上る大企業の内部留保を活用すれば可能なことです。
雇用では労働者派遣法を抜本的に改正し、正規雇用を原則とするとともに、正規と非正規の不当な差別格差をなくします。最低賃金を当面、時給1000円以上に引き上げるとともに、中小企業への賃金助成などの支援を制度化します。不当解雇や労働者の生活を無視した強制配転をなくし、労働者の権利を守ります。
中小企業への買いたたきなどをやめさせるために、公正・公平な取引のルールを確立します。国の中小企業予算を1兆円に増額し、技術開発、販路拡大、後継者育成、円滑な中小企業金融など、中小企業への支援を強化します。公共事業を大型開発優先から生活密着型に切り替えるとともに、官公需の中小企業発注比率を引き上げます。
歳出のムダの削減と不公平税制見直しで
日本共産党は社会保障を支える財源として、まずは歳出面でのムダづかいの一掃、富裕層・大企業優遇の不公平税制の見直し、新たに「富裕税」「為替投機取引税」「環境税」などを導入することでまかないます。
たとえば、歳出では大型公共事業の見直しがあります。14年度概算要求では東京外環道など不要不急の高速道路や整備新幹線などの予算が増額されました。こうしたものを削減することで少なくとも1兆円規模の財源となります。また、5兆円規模となっている軍事費には、「思いやり予算」や米軍再編経費など日本が負担する根拠のない費用が含まれており、削減することが可能です。
不公平税制の見直しでは、この間に引き下げられた所得税・住民税、相続税の最高税率を元に戻せば1兆円を超える財源となります。もっぱら大企業ばかりが利用している研究開発減税を廃止し、連結納税制度を見直せば、1・3兆〜1・6兆円の増収です。
為替取引税の創設は財源政策となるだけでなく、投機マネーの規制にもなります。日本銀行の外国為替取引高調査から試算すると、年間取引高は9000兆円にも上ります。0・01%の税率でも9000億円の税収となります。
こうした財源を合わせると年間12兆〜15兆円となります。消費税率を8%に引き上げることで見込まれる増収額8兆円を上回り、10%時の13・5兆円に匹敵する額です。この財源で低年金を引き上げ、医療費窓口負担を軽減するなど、ボロボロにされてきた社会保障を再生します。