2013年9月12日(木)
「秘密保護法案」 国政調査権を侵害
国会議員も処罰対象
国会に全面非公開の場合も
国民の知る権利や言論の自由などに対する重大な侵害となる「秘密保護法案」。政府は臨時国会への提出をねらい、法案概要へのパブリックコメント(意見公募)を募集中です。しかし、法案の全容が明らかでないうえ、募集期間も3日からわずか2週間。市民や弁護士などから内容とともに期間の短さにも批判の声が上がっています。その不明確な概要の中からも、重大問題が浮かび上がっています。その一つが国会との関係です。
国会は、主権者・国民の代表者で構成される「国権の最高機関」(憲法41条)であり、唯一の立法機関として、各議院は国政調査権をもっています(62条)。証人の出頭や証言、記録の提出を求めることができます。また、首相や閣僚に国会への出席を求め、答弁や説明を求めることもできます(63条)。
ところが、「秘密保護法案」概要では、「行政機関の長」が指定した「特定秘密」に関しては、衆参の委員会などに提出する条件として「公開されないもの」(非公開の秘密会)であることを要求。しかもこの場合、「特定秘密を知得した者」が秘密を漏らせば「懲役5年」の刑を科すとしており、国会議員や関与した国会職員も処罰されます。
これでは、秘密会に参加した国会議員が、所属政党に議論を持ち帰って議論することも、専門家に意見を聞くこともできなくなります。議会政治、政党政治がマヒしてしまうことになります。
さらに「概要」は、国会の秘密会に関わって「秘密を使用し、若(も)しくは知る者の範囲を制限する」ことなど、秘密の保護に「必要なものとして政令で定める措置」を講ずるとしています。刑罰以外にも国会議員、国会職員に対し「政令」による細かい制約を張り巡らそうとしています。
しかも、秘密会に対する「秘密」の提供も、行政機関の長が「我(わ)が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」だけ。つまり行政が「支障あり」と判断すれば、結局、“秘密”を公開しないとしているのです。
これでは、行政の判断一つで、国会に重要情報がまったく出てこないことになります。国政調査権に対する重大な侵害であり、行政に対する国会の民主的コントロールを骨抜きにするものです。国民の知る権利や言論の自由に対する侵害とあわせ、民主主義の根幹を破壊する重大な内容です。
秘密保護法案 軍事情報から原発まで幅広い行政情報を統制するための法案。軍事、外交、安全脅威活動の防止、テロ活動防止の4分野で、行政機関の長が情報を「秘密指定」(特定秘密)。それを漏えいした公務員や国会議員、民間業者を処罰し、国民や報道機関などによる情報公開の働きかけも「教唆」「共謀」などとして懲役5年〜10年の刑を科し取り締まる内容です。
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