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2013年9月1日(日)

防衛省「改革」

自衛隊運用 統幕に一元化

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文民統制 形骸化の危険

戦前、軍部に強大な権限 反省を無視

写真

(写真)防衛省

 安倍政権が集団的自衛権の行使容認など海外で米軍と肩を並べて武力行使ができる態勢づくりを進めようとしているもとで、防衛省が組織改革に乗り出しています。

 防衛省の「改革検討委員会」(委員長・江渡聡徳副大臣)は30日、「省改革の方向性」と題した報告書を小野寺五典防衛相に提出しました。安倍政権が官邸の司令塔機能強化のために狙う日本版NSC(国家安全保障会議)創設などの動きに合わせ、今年2月に検討の加速化が指示されていたものです。

「迅速な決定」

 報告書の最大の“目玉”は、緊急事態に際しての迅速な意思決定のためとして、自衛隊の運用に関する業務を自衛官(制服組)で組織する統合幕僚監部(統幕)に一元化する方向を打ち出したことです。これまで文官(背広組)で組織する内局で自衛隊の運用業務を担当していた運用企画局は、「サイバー攻撃対処」などのための組織に衣替えします。早ければ2015年度にも実施します。

 「自衛隊の運用」とは、作戦行動など実際に部隊を動かすことであり、軍事の要です。運用企画局の事実上の廃止によって軍事の最重要な分野への内局の関与を排除し、統幕の専権にしようというのです。

 これは、自衛隊を指揮監督する防衛大臣の「専門的助言者」であり、制服組トップである統合幕僚長の権限、発言力を大きくするものです。戦前、軍部に強大な権限を持たせた反省から生まれた「文民統制」(シビリアンコントロール)を形骸化する動きであり、政治が軍事に従属する危険を招きます。

垣根取り払う

 報告書は、文民統制の形骸化という批判を意識してか、統幕に文官ポストを設けるとしています。しかし、これは「文官と自衛官の垣根を取り払う」のが狙いで、逆に内局に自衛官ポストを設けることも提案しています。

 背広組の内局が、統幕など制服組の組織から独立していることは文民統制の象徴でした。両者の混然一体化はそれに逆行するものです。

 報告書が指摘するように、防衛省改革はもともと、装備品調達をめぐる汚職など「不祥事の頻発」を受け07年に検討が始まりました。ところが、当初から、不祥事を逆手にとって背広組と制服組の一体化が狙われていました。

 今回も装備品調達の問題では、内局と陸海空自衛隊に分散している調達部門を統合し、「防衛装備庁」を新設するなど組織いじりが中心です。不祥事の再発防止という観点は後景に追いやられています。

 (榎本好孝)


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