2013年8月15日(木)
主張
終戦68年
平和の決意生かし改憲阻止を
日本が朝鮮半島や中国を侵略して始め、ついには第2次世界大戦に加わって世界を相手にたたかうことになったアジア・太平洋戦争の敗北から、68年になりました。1945年8月15日は、日本の降伏が国民に知らされた日です。
戦争の悲劇を繰り返さないことが敗戦を体験した日本国民の決意です。ところが終戦68年の今日、政権に復帰した安倍晋三内閣と自民党は、憲法を改悪し、再び「戦争する国」になる策動を露骨にすすめています。平和の決意を生かしぬき、憲法改悪の策動を阻止していくことが重要です。
戦争がもたらした惨害
いま公開中の宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」は、戦争の悲惨さ、無意味さを静かに語りかけてくれます。映画のラストシーン近くでの、破壊され打ち捨てられた大量の軍用機と、それさえ埋め尽くす美しい緑の野原は、戦争の無残さと平和の大切さを伝えているのではないでしょうか。
「憲法を変えることについては、反対に決まっています」―映画を製作したスタジオジブリがこの夏発行した「憲法改正」をテーマにした雑誌で、宮崎監督はきっぱり言い切ります。二度と戦争の悲惨さを繰り返さないと決意した日本国憲法を踏まえてのものです。
アジア・太平洋戦争の結果、2000万人を超すアジアの人びとと310万人以上の日本国民が犠牲になり、日本が侵略したアジアと日本の諸都市は廃虚となりました。日本が降伏のさい受け入れた「ポツダム宣言」は、日本国民をだまし、世界征服をねらうような過ちを犯させた「権力及び勢力は永久に除去せられざるべからず」ときびしく糾弾しています。
そうした戦争への反省にもとづき決められたのが、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(前文)ことを決意した憲法です。憲法9条は戦争放棄を宣言し、戦争のための武力は持たず、紛争は話し合いで解決することを明確にしました。中国との戦争に駆り出された全国革新懇代表世話人でもある財界人の品川正治さんは、帰還の船内で9条を読み、「突き上げるような感動に震えた」と回顧しています。
安倍政権がすすめる憲法改悪は、自衛隊を「国防軍」という名の軍隊にかえ、日本の「自衛」とは関係ない戦争でも参加できるようにするものです。まさに日本を再び海外で「戦争する国」に変える内容です。しかも安倍首相は侵略戦争を反省せず、日本の誤りを謝罪した首相や官房長官の談話を見直そうとしています。国際社会がこぞって批判した侵略戦争の誤りを認めず、紛争は話し合いで解決しようという世界の常識さえ守ろうとしない首相には、政治を担う資格がないといわなければなりません。
平和願う国民の運動で
安倍政権は参院選後、衆参で議席の多数を握ることになったのを背景に、歴代内閣でさえ認めなかった「集団的自衛権」の行使や改憲そのものの企てを加速しています。日本を「戦争する国」に引き戻させるかどうかの正念場です。
戦後の憲法に戦争放棄を明記させたのも、国際社会の圧力とともに日本国民のたたかいがあったからです。日本共産党は弾圧に屈せず侵略戦争反対を主張しました。再び「戦争する国」を許さないため力を尽くすことがいま重要です。