2013年8月7日(水)
“対立見解は外交で解決”
日韓請求権協定締結時に外務省
「慰安婦」賠償問題
笠井氏調査で判明
日本軍「慰安婦」被害者への賠償問題をめぐり、日韓請求権協定(1965年)締結当時、日韓間で“対立する見解”が生じた場合には外交上の努力で解決されるべきだとする「条約解説」を日本の外務省がまとめていたことが、6日までに日本共産党の笠井亮衆院議員の調べで分かりました。
日本政府は、日韓請求権協定によって財産・請求権問題は解決ずみで「紛争は存在しない」という立場です。そのため「慰安婦」被害者の賠償要求に応じていません。これに対し、外務省がまとめた文書「解説・日韓条約」(『法律時報』65年9月号)は、日本政府の立場と明らかに違う内容で注目されます。日韓諸協定で定める紛争処理の規定について、当時、外務省の事務官だった小和田恒・元事務次官が執筆を担当しています。
同「解説」は、「何が『紛争』に当たるか」について、一方の当事国が「ある問題について明らかに対立する見解を持するという事態が生じたとき」と明記。また、紛争の発生時期については「何らの制限も付されていない」とし、「今後、生じることのあるすべての紛争が対象になるべき」だと説明しています。
そのうえで、日韓間で紛争が生じた場合は、「まず外交上の経路を通じて解決するため、可能なすべての努力を試みなければならないことはいうまでもない」と指摘しています。
紛争に該当は明白 笠井亮衆院議員
外務省の当時の「解説」からも、90年代に入り問題化した「慰安婦」問題での日韓間の解釈の違いは、協定上の紛争に当たることは明白です。日本政府の「請求権問題は解決済み。紛争は存在しない」という主張は成り立ちません。政府は、韓国側との協議に早急かつ誠実に応じ、外交的解決に努めるべきです。