2013年7月31日(水)
不妊治療助成 42歳まで
予算削減狙い 少子化対策に逆行
体外受精など不妊治療の費用助成の在り方を議論する厚生労働省の有識者検討会(座長・吉村泰典慶応大医学部教授)は29日、省内で会合を開き、助成対象を42歳までとすることで合意しました。助成の上限回数も、現在の「10回まで」を原則「6回まで」に減らしました。
この最大の狙いは、社会保障予算の削減です。
体外受精などの不妊治療には保険がきかず1回で数十万円かかります。当事者の自助グループNPO法人Fine(ファイン)の調査では、治療総額が100万円を超える人が5割を超え、助成制度の拡充が求められています。
ところが政府・厚生労働省は今年度からすでに、1回15万円の助成額の一部を7・5万円に半減させる改悪を強行しました。あらかじめ採卵し受精させていた凍結胚を移植した場合などが対象です。約11万2000件の助成件数(2011年度)の3割を占め、今年度の国予算は前年度より約13億円(12%)削減されました。
今回の助成見直しについて同省は、「事業費が右肩上がりでずっと伸びていくことは認められない」(雇用均等・児童家庭局母子保健課)と、予算削減の狙いを隠していませんでした。
日本共産党は、助成額の増額、所得制限の緩和、治療への保険適用の拡大を求めています。不妊治療を何歳までどのように行うかは、主治医の医学的判断による説明を受け、患者自身が決めることです。
6組に1組のカップルが悩んでいると言われる不妊症。厚労省の検討会合意は、少子化対策を重視するという政府の主張に照らしても、子どもを望む多くの人の願いに背を向けている、と言わなければなりません。
(内藤真己子)