2013年7月1日(月)
NHK「日曜討論」・フジ系「新報道2001」
小池副委員長の発言
日本共産党の小池晃副委員長は6月30日、NHK「日曜討論」とフジテレビ系「新報道2001」に出演し、参院選の争点について各党代表と討論しました。
参院選にどうのぞむか
自民党に立ち向かう抜本的対案を示す
「日曜討論」の冒頭、参院選にどう臨むか、各党が表明。自民・公明両党は“国会のねじれ解消”を柱の一つに掲げました。小池氏は「最大の問題は、民意と国会のねじれです」と述べたうえで、いまの自民党・安倍政権が進める消費税増税、原発再稼働、環太平洋連携協定(TPP)、憲法改悪などに「危機感とか不安感をお持ちの方はたくさんいる」と指摘。「自民党ときちんと対決できる党は共産党しかない」「どんな問題でも抜本的な対案を示して国民のみなさんと力を合わせて政治を変えていく」と決意を表明し、「共産党の議席が増えれば政治は必ず変わります」と訴えていきたいと述べました。
経済政策
国民の所得を直接あたためてこそ本当の経済成長に
アベノミクスの評価をめぐっては、自公両党が、「期待だけで個人消費が増えている」(自民・高村正彦副総裁)と景気回復をさかんにアピールしたものの、「ただ景気回復を実感していないかたが多いのは事実。通常、景気回復は東京から大企業から始まる」(公明・石井啓一政調会長)と言い訳も。小池氏は次のように語りました。
小池 いつもそういう話を聞かされるわけです。トリクルダウン(大企業のもうけがしたたり落ちる)、“まず大企業いずれ中小企業と庶民に”というが、(そう)いかないのが実態です。
しかも、これからやろうとしていることが大問題です。来年4月に消費税を増税する。13兆5000億円ですよ、10%まで上げると。史上最大の大増税。それから規制緩和の名によって雇用破壊をやろうとしています。限定正社員といっていつでも首切りできるような仕組みを導入する。こういうことをやるとますます貧困と格差が広がっていく。
その一方で法人税の大胆な減税をやろうと自民党は議論している。庶民には史上最大規模の大増税をやりながら、財界には大胆な大減税。私は、政治が顔を向ける方向がまったくまちがっていると思います。国民の所得を直接温める政治こそ本当の経済成長につながると思います。
政治がやるべきことは安定した雇用と賃上げ
国民の平均所得が下がってきたことで自民、民主が責任をなすりつける議論を展開したのに対し、小池氏は「民主党政権のときだって自公政権のときだってそんなによくなってないので泥仕合はやめたほうがいいと思う」と述べたうえで、非正規雇用が増えたのは自然現象ではなく、労働法制の規制緩和を進めた自公政治だったと批判し、「これが一人当たりの賃金を大幅に引き下げてきた原因だ」と指摘しました。
そのうえで、平均給与引き上げが景気回復の打開のカギだと思うのなら、正社員化と賃金保障の仕組みをつくるべきであり、政治が規制緩和を正すことだと強調しました。
消費税増税
増税するなら富裕層に
財政再建の議論では、「社会保障は聖域としない。歳出を切り詰める」(高村氏)という自民党に対して小池氏は次のように語りました。
小池 財政再建という話になると結局なんでもツケを庶民と中小企業にまわすという、本当に道義と正義もないやりかたです。社会保障をコストと捉えるのではなく、国民の不安を取り除いて消費を活性化させて日本の経済を好循環させていくエネルギーにするべきものであって、ここに公費をしっかり入れていくことこそ必要です。
増税するなら消費税じゃなくて富裕層だと思うし、財政再建なら不要不急の軍事費、思いやり予算、政党助成金にメスを入れるべきだと思います。
自民党は国民の信を問うべきだ
そのうえで小池氏は、昨年の総選挙時から消費税増税を焦点にすることにあいまいな態度を示してきた自民党に対し、「今度の選挙で消費税増税やらせてくださいと公約し、国民に信を問うということをやらなければ私は本当に無責任だと思います」と迫りました。
これに対し高村氏は「今の状況でいけば、法律どおり(消費税を)引き上げることになる」と言明。小池氏は「大争点にすべきだ」と述べました。
外交問題
原発輸出とTPP参加に反対
外交問題に議論が移り、高村氏が「企業は企業、国は国でなく、オールジャパンで力を発揮すべきだ」と主張したのに対し、小池氏は「問題は中身だ」と指摘し、次のように述べました。
小池 いま、目玉にしているのは原発輸出です。世界一安全な原発技術を提供できますといって、福島(原発事故)の収束も原因解明もできていないときに、事故を起こしたから一番安全だったというのは、本当に恥ずかしい。しかも、世界有数の地震国トルコにまで輸出をする。
それからなんと言っても経済外交の目玉はTPP(環太平洋連携協定)です。これは結局、アメリカ重視どころじゃない属国ですよ。結局アメリカ流のルールを日本に持ち込んで、日本の法律や制度を変えていくことになるわけで、その結果、日本の農業は壊滅的な打撃を受け、医療、雇用あらゆる分野に影響がでてくる。アジアの成長を取り込むどころか、(アジアの)主要国ほとんど参加していない中で、アメリカンルールで日本の経済までがんじがらめにしていく。
やはり、食料主権、経済主権というものを本当に国づくりの基本にすえるような外交上の姿勢が私は必要だと思います。
憲法
いま必要なのは憲法を生かす政治
憲法改定について各党の見解を問われ、自民党と日本維新の会は96条の改定を主張。みんなの党、民主、公明、生活はともに改憲そのものには賛成を表明しました。
これに対し小池氏は、改憲論の中心は「憲法9条」であり、自民党が「国防軍」にするといっているのは、単に名前を変えることではないと指摘。9条があるから「戦闘地域には行きません」「武力行使はしません」という歯止めになっていたのに、それをなくせば海外でアメリカとともに武力行使できるようになるとして、「そういう国にしてしまっていいのかという根本問題が問われている」と述べました。
小池氏は96条改定論についても「手続きの問題じゃない。なぜ3分の2という圧倒的多数を発議要件にしているかといえば、熟議に熟議を重ねて全体が合意をしたものを国民投票にかける、これが立憲主義の根本です」と主張し、次のように語りました。
小池 いまやるべきことは憲法を変えることではない。憲法どおりに政治をやってこなかった自民党政治が問われているわけです。時代に合わないのは憲法ではなくて、この憲法を踏みにじってきた自民党政治こそ、時代に合わなくなってきている。憲法の全条項を生かす政治こそ、今やるべきだと思います。
原発
再稼働は人命と両立しない
「新報道2001」では、原発問題で各党の幹部と討論し、自民党の小坂憲次参院議員が「再稼働が認められないとなると、(電気料金が)30%から60%上がるという試算もある」などとして再稼働を主張。他党も「理想は原発ゼロだが、理想だ」「地元自治体の理解を得たうえで再稼働という話になってくる」(民主党の桜井充政調会長)、「安全基準を確かめたうえで運用していく」(維新の会の中田宏国会議員団政調会長代理)などと容認しました。
小池氏は「原発はコストが低いというのは誤りだ」として、立地自治体への補助金、研究費に対する公費助成が含まれていないこと、事故の除染・賠償費用は6兆円では収まらないこと、LNG(液化天然ガス)の価格は下がってきており、努力して安くできるなどと指摘し、こう述べました。
小池 福島事故の教訓を踏まえて最高水準の基準を作ったというけど、福島の原発がいまどうなっているかは誰もわからないわけです。原子炉が、核燃料がどうなっているかわからないのに安全基準が作れるわけがない。
しかも、住民の避難計画を作っていない。国会で質問したら、住民の避難計画と再稼働はリンクしないと、田中(俊一)原子力規制委員長は言いました。要は、過酷事故が起こるという前提で規制基準を作りながら、事故が起こったときの避難計画も作らない。あまりにも人命軽視です。再稼働と人命とは両立しない。絶対に動かしてはいけない。
この規制基準について、公明党の石井啓一政調会長は「相当厳しくなり、信頼性も高い」と擁護。自民党の小坂氏も「ここまでしなきゃいけないんだろうかと思うほどに大変きつい」と述べました。
ゼロを決断してこそ再生エネへの切り替えも現実的に
小池氏は「原発ゼロ」の現実性について、こう語りました。
小池 原発ゼロというのは能天気だというが、違います。原発ゼロを決断してこそです。例えば、ドイツは、原発ゼロを決断したことによって何が起こったか。2004年までは自然エネルギーが9%だったんです。いまの日本と同じです。それが7年間で20%まで再生エネルギーをやったわけです。こういうことを日本でもやりましょうと、私たちは具体的に、建設的に言っているんです。