2013年6月13日(木)
米NSAが電話の全通信記録収集
人権団体 違憲と提訴
告発の元職員 「国民の名で国民に反する行為」
【ワシントン=山崎伸治】米国最大の情報機関「国家安全保障局」(NSA)が国内の電話の全通信記録を収集していた問題で、人権擁護団体「全米市民的自由連盟」(ACLU)は11日、ニューヨークの連邦地裁に対し、オバマ政権が憲法に違反し、表現および結社の自由、プライバシーの尊重を侵害する活動を行っていると提訴しました。
同連盟のジャファー副法規部長は「今回の情報収集活動は民主主義政府が自国民に対して行った過去最大のものだ」と指摘。活動の根拠とされる「愛国者法」の規定も超えるものだと批判しました。
この問題は5日、英紙ガーディアンがスクープし、9日にはその「情報源」として元NSA契約職員のエドワード・スノーデン氏が同紙のインタビューに登場。「国民の名で行われていることが、国民に反するものであるということを知らせたかった」と動機を語りました。
上院情報委員会のファインスタイン委員長(民主)は10日、「私はこの人物が『内部告発者』だとは思わない。反逆者だ」と非難。一方、1971年にベトナム戦争に関する国防総省の秘密報告「ペンタゴン・ペーパーズ」を暴露したことで知られるダニエル・エルズバーグ氏は同日、米メディアに対し、「米国史上、最重要のリークだ」と称賛しています。
オバマ米大統領は7日の記者会見でNSAの情報活動について、「100%の安全と100%のプライバシーを確保して、不便も感じないというのは不可能だ」と述べ、テロ対策としてやむをえないとの考えを表明。カーニー報道官も11日の記者会見で、「バランスを図ることが必要だ」と繰り返しました。