「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年6月11日(火)

数え方変え「待機児減らし」

「横浜方式」 大阪・札幌・川崎でも

「認可保育所増の願い裏切る」と批判

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 横浜市が発表した、安倍晋三首相お墨付きの「待機児童ゼロ」。待機児童の定義を少しずつ変えていく「待機児童減らし」も使いながら、統計上の「ゼロ」を生み出した同市の手法が、各地に広がっています。

 大阪市は今年度、24区中21区で「待機児童ゼロ」になったと発表しました。「育児休業中」や「自宅で求職中」を待機児童からはずしたことが大きな要因です。取材に対し同市は、「同じ土俵で比べなければ意味がない」と市長からの指示を受け、横浜市と同じ定義にしたと説明。「統計上のゼロ」と認めながらも「大阪市だけが特殊なやり方ではない」と答えています。

 川崎市は今年度から、「自宅で求職中」を待機児童からはずしました。理由については、横浜市が昨年度から同様に除外したのをはじめ、他都市の状況などを勘案した結果としています。

 「2年以内にゼロを目指す」と市長が会見した札幌市でも、今年度から「自宅で求職中」の215人を待機児童からはずしました。

厚労省が定義変更

 もともと待機児童とは、認可保育所に申し込んでも入所できなかった子どもたちを指していました。ところが厚労省は01年度からこの定義を変更。自治体独自施策としての認可外保育所への入所や、空きがあっても希望した保育所ではないために入所しない場合などは、待機児童からはずしました。このため、保育関係者からは「認可保育所の必要数がつかめなくなる」と批判の声が上がっています。

 しかも、数え方は自治体の裁量に任される部分もあるため、統計上の待機児童減らしはいくらでも可能となります。

 例えば、「求職中」の取り扱いです。「インターネットなどを使って自宅で求職中」は待機児童に含めないとする横浜市のような例もあれば、待機児童に含める自治体もあります。

住民批判で改善も

 一方で、住民の批判を受けて、少しでも実態に見合うように定義を変えたところもあります。東京都杉並区もその一つです。

 同区では、認可保育所の入所申し込み者のうち3分の2が入れず、行政不服審査法にもとづき集団での異議申し立てがおこなわれました。こうした運動もあって今年度からは▽子どもを預けられないためやむを得ず仕事を辞めた▽育児休業を延長した―という場合は待機児童に含むようになりました。以前の数え方で割り出せば94人という待機児童が、今回の定義では285人にのぼる結果となっています。

 児童福祉法第24条第1項にあるように、市町村には保育を実施する責任があります。そのためには、認可保育所への入所希望数を正確に把握することが欠かせません。

 待機児童の概念を都合よく変えることによる待機児童減らしや「待機児童ゼロ」は、「認可保育所を増やしてほしい」という親の切実な願いを裏切るものになります。(堤由紀子)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって